story

□肩を並べて
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『(間に合え…ッ!!)』



アレンに斬りに掛かる神田を目の前にした玲子は、右足に備え付けているホルターからクナイを取り出し、二人の間へと入っていく。





ガキィイィンッ!!






「……え?」


「…ッ!?」



突然鳴り響いた金属音に神田は驚き、つい刀に入る力が強くなってしまった。


目の前の白い奴が防いだ訳では無い。


白い奴の前にいる黒い影。


こいつは…。



「…玲子?!」


『かっ…、神田っ!』



ギチッ、と僅かに火花を散らし玲子はクナイを構えたまま六幻を受け止めていた。


黒い髪をなびかせながら背中でアレンを庇う玲子。


神田は目の前にいるのが玲子だと分かると直ぐに六幻を引いた。


急に神田が刀を引いたために、刃先に体重を掛けていた玲子は前方へと倒れ込む形となった。


それを神田は受け止めていた。



『わっ…、…ぷ!』


「…玲子、お前…」



いつの間に外に出たんだ?


そしてなぜお前がここにいるんだ?


神田は疑問ばかりが浮かんで止まらなかった。


神田は己の腕に倒れ込んで来た玲子を支えて体制を正してやった。


そして普通の立ち位置になると漸く玲子を見る事が出来た。


具合も顔色も、共に良さそうだと神田は確認すると再び六幻を構え始めた。



「…玲子、退け。そいつは敵だ!」


「『えぇっ!?』」



アレンと玲子がホッとしたのもつかの間、神田は再び戦闘モードに入ってしまった。



「退け、玲子!」


『え…』



玲子は困ったと言わんばかりにアレンの方をちらっと見た。


その視線に気付いたアレンも玲子のことを見て、背中に冷や汗を流していた。


せっかく庇ってくれたこの人もまた、自分に攻撃を仕掛けて来るのだろうか。


この神田という人から攻撃されるのは怖い。


だが今こうやって背中で自分を庇ってくれている人から攻撃されるのはもっと嫌だ。


この人に攻撃されたら、気持ち的にだが凹む。


気持ちの問題なのだ。


それともう一つ。


この人からの攻撃は絶対に躱せる自信が無かった。



なぜならこの人は、あの神田とか言う人の殺気丸出しの攻撃を割り込んで入って来られたのだ。


この人の攻撃はきっと神田とか言う人より強く、速いのだろう。


そんな二人に攻撃などされてみろ。


勝ち目なんて見えてこない。


攻撃するのも嫌だが、されるのも嫌だ。


どうしたら良いのだ、とアレンは焦った。



だが神田の殺気は治まろうとしない。



これ以上待っていたとしてもらちがあかない。


覚悟を決めよう、とアレンは右手をにぎりしめた。





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