story

□肩を並べて
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ジャキッ





一瞬アレンが気を抜いたとき、神田の刀が重々しく鳴った。



「……退け。退かねえならお前も斬る」



アレンはその音を聞いて慌てて我に帰り、玲子の肩腰から無実の証明に取り掛った。



「待って!僕は本当に敵じゃないですって!クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!!」



アレンがそう叫ぶと神田の刀はぴたりと止まった。


付け足すように「コムイって人宛に」と汗だくになりながら必死に言う。


それでもなお睨み続ける神田に怯み、思わず玲子の背中に隠れてしまった。


そうするとやはり香る良い匂い。



『神田、もういいでしょ?刀引いて』


「お前が退けばいい」


『この子は無害だって分かったじゃない。それでも不満?』


「…あぁ、まだ分からねえだろ」



分からず屋、と玲子はボソリと呟く。


うまく話が通じないものかと考えを巡らす。


簡潔に、そして神田が素直に納得する理由を玲子は探した。


だが、考えても考えても、同じ結果にしかたどり着かない。



『(…早く開けよこの門番!!)』


軽く歯ぎしりをすると、ようやく重たい門が開き始めた。



《入城を許可します。アレン・ウォーカーくん》



やっと開いた門を見て、玲子もやっと安心できた。



「コムイか…、どういう事だ」


この事態に納得の行かない神田は、未だにアレン、玲子に刀を向けている。


だがコムイはまるで反省をしていないように明るくものを言うのだった。


《ごめんねー早トチリ!その子クロス元帥の弟子だった。こらこら!玲子ちゃんに刀向けない!!早く仕舞って仕舞って!》


神田の隣を飛ぶゴーレムからコムイの声が聞こえて来る。



《ティムキャンピーが付いてるのが何よりの証拠だよ。彼は僕らの仲間だ》



室長が直々にそう言っているにも関わらず、認めようとしない神田。


睨みを効かせたまま引く気配が全くない。


アレンは堪えられないというふうに玲子の肩をギュッと掴んだ。



『(可哀相に…ι)』



段々アレンが可哀相に思えて来た玲子の視界に、神田に忍び寄る影を捕らえた。



ぱこっ



なんとも間抜けな音がその周辺に鳴り響いた。



「もー、やめなさいって言ってるでしょ!早く入らないと門閉めちゃうわよ」



リナリーはバインダーで神田の頭を軽く叩く。


神田は頭を押さえながら唖然とし、リナリーを見る。


急に起こった出来事に驚いているアレン。


固まった二人にぴしゃりと容赦無く言うリナリー。



「入んなさい!」


『(あ、ちょっと迫力ある)』



クスクスと玲子は笑いながら、二人は固まった表情をしながら教団の門は閉ざされた。




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