story
□現れる姿
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停車した汽車のドアが開く。
流れるように出てくる人を眺め、一人怯えているラビ。
この中にわざわざ終わった任務に加勢しに来てくれる人がいる。
その人物が分からないため嫌な汗をかいてしまうラビ。
「(…お、お願いしますっ!どうか、どうか神田ではありませんように!!)」
ぎゅっと手を握り締め、目をつむる。
人の出てくる流れはだんだんゆっくりにと変わっていく。
願いを捧げているラビを置き、ファインダーが動いた。
奥の車両が開き、人が降りてくる。
コツ、と妙に足音が響いて聞こえたのは怯えているせいなのだろうか。
ラビは目を開くと足の爪先が見えた。
俯いていて足しか見れない状態だとは情けない。
そうは思うがなかなか顔を上げる勇気がで無い。
「あぁ、あなたですね。わざわざすみません。来ていただいて早々申し訳無いのですが、今回の任務は終了いたしまして…」
どうやら教団から送られて来た使者が現れたようだ。
ファインダーが話し掛けているのを聞き、ラビは視線を足元からゆっくりと上げていく。
『え?あ、そうなんですか?あぁ、気にしないでください』
聞き覚えのある声が耳に入り、ラビはすぐに顔を上げてその人の顔を確認する。
「…えっ?あ、…玲子!?」
ラビは一瞬驚きを隠せなかった。
『あ、やほ!ラビ』
目の前にいるのは玲子。
呑気に手を振っている。
なぜ玲子がいるのだろう。
玲子は自分が出ていくときにはまだ眠っていたはず。
その前に玲子が来る意味が分からない。
ここに来るのはエクソシストじゃないのか?
元々玲子はファインダーで、ここに来るのはエクソシストであって玲子が来る必要はない。
なのになぜ玲子はここに来るのだ?
もしかして加勢に来るというのはファインダーの事だったのだろうか。
そうだとしたらつじつまは合う。
「(なんだ、てっきりエクソシストが来るのかと思っ……て?)」
団服…。
え?何でファインダーの玲子がエクソシストの団服を着てる?
「…え?」
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