story

□現れる姿
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『じゃ、あたし行くね』


「おう!お疲れさん」



駅のホームに汽笛が鳴り響いた。


教団の方向へ向かう汽車がちょうど良いタイミングで駅に着いたのだ。



『あ、そうそう』



玲子は汽車の乗り際に振り返ってラビを見る。



『ダグに会ったら“気をつけて”って言っておいてくれる?』


「ん?おう」


『ついでに“油断したらぶっ飛ばす”とも伝えておいて』


「…お、おうι」



玲子はそれだけラビに伝えると汽車に乗り込み、手を振った。


玲子がいなくなってから、急に静かになった気がする。



「…はぁ」



玲子の笑顔なんて久々に見た。


やっぱり玲子の笑顔には不思議な力があるのだろうか。


心なしか、気分が良くなった気がする。



けれど、優れない気分にもなっている。


ため息ばかり出る。


その原因は、玲子が最後に言った一言。


『ダグに会ったら伝えといて』


目の前にいる自分のことではなく、今ここにいないダグの心配をしていた玲子。


恐い一言も付け加えられたが、目の前には俺がいるのに、何も言ってはくれなかった。


言ってくれたら、こんな気分にはならないのに。


まぁ、そんなに進んだ仲では無いのだけれど。



「…何なんだよ、俺」



本当に、中途半端な奴だな俺は。


ラビがうなだれると、急に響くラビのゴーレム。



「…何だよ全く…。もしもし?」


《あっ、ラビ〜?どうだった玲子ちゃんのエクソシストの団服の感想は?もしかして良すぎて鼻血噴いちゃったとか〜♪?》



出た瞬間からマシンガントークなコムイ。


返事をする気にはならなかったが、"鼻血"の一言を聞いてギクリとする。



「し…、してない!!」


《えー!!そうなのー!?!?つまんないなぁ。あんなに綺麗な脚をさらけ出してるのにぃ〜》


「ば、馬鹿言え!あんなのされたら男は皆ノックアウトされちまうさ!!すぐに改良すべき!!」



ラビはついつい玲子のあのスリットからちらっと見える脚を思い出し、顔を赤くする。



ダメダメ!変態妄想禁止!消えろ消えろ!!!



《科学班の皆が良いって言ったから当分は改良しないよー》


「何で科学班の中だけで決めるんだ馬鹿―――ッ!!!!」




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