story
□おかえり、おかえり
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暗闇の街を出歩く人の影。
アクマ達に見つかりやすいようにと、夜に出歩く事が多くなった玲子。
玲子はいつも静まり返った夜の街の大広場に行っている。
今ではそれが日の習慣となりつつあった。
今日もその広場へと足を向けている途中だった。
こちらに出た方が被害も少なく、犠牲者も出ないだろう。
運がよければアクマ同士の噂で玲子の事が知られたら良い、そうも考えていた。
なぜなら、アクマ達にとって玲子という倒すべき敵がそこにいると分かれば、無駄な殺人は起こさないだろうと思っていたからだ。
案の定、アクマは毎日のように玲子を探し回り、広場に集まるようになっていった。
お陰で、アクマ側から襲い掛かって来るようにもなっいた。
アクマが自分からこちらに向かってくるため、玲子にはアクマを探す手間が省け都合の良い事だった。
『昼は人間、夜アクマ狩り、か…』
もう随分と寝ていないな。
眠たいなんて事すら忘れてしまいそうだよ…。
玲子の呟きは闇に呑まれて消えていった。
〔あレー?いないゾーン?〕
〔見つけタら教えロよ?〕
〔ケケッ、ヤダネ!オレがコロすんだ♪〕
〔いヤッ、オレだ!〕
〔オレダッ!〕
玲子の真っ正面に、立っているアクマ達。
騒ぎ立ているアクマ達の話題は玲子の事だった。
その話に夢中になっているのか、アクマは真っ正面に立っている玲子の存在に気付いていなかった。
『(…こいつら、絶対に阿呆だ)』
玲子は今でも気付かないアクマ達を見て呆れ返ってしまった。
『…あたしはここだよ、アクマさん』
騒ぎ立てていたアクマ達は一瞬にして静まり返り玲子の方を見る。
アクマ達は玲子の姿を確認すると気持ち悪い嫌らしい笑みを浮かべてた。
〔いタっ!見ィーつけた♪〕
〔アイツだ!〕
アクマ達は嬉しそうに玲子を見ると、玲子に向かって一斉に襲い掛かった。
『…馬鹿な奴』
玲子は呆れ、クスリと笑うとイノセンスを発動させた。
まだ名もないイノセンス。
『発動』
玲子の眼が発動と同時に紅に染まりアクマを睨み付ける。
するとアクマは金縛りに合い、動きが封じられてしまった。
〔くっ…!う、動かない!〕
〔何でダッ!?〕
『相手の力量も知らずに突っ込んで来るのは危ないと思うよ?アクマさん』
アクマは初めて玲子がイノセンスを持っていることに気付いたように驚いている。
〔何だ!オマエ、エクソシストか!?〕
〔エクソシスト…!?〕
〔おい、アイツの眼…!〕
アクマ達はあわてふためき、玲子の呪縛から逃れようともがく。
だが決して玲子の金縛りからは逃れられないのだ。
エクソシストと知って、アクマは玲子の顔を覗き込む。
〔あっ…!お、オマエ…その眼は…?!〕
〔伯爵様ノ…!!〕
『……その台詞は聞き飽きた』
うんざりと頭を傾けると玲子は一気にアクマ達を石化させていった。
『バイバイ』
〔ぐッ…!ゴノ゙――ッ!!〕
一体のアクマが赤く点滅仕出し、玲子に向かって叫ぶ。
〔テメェも道連れダッ!エクソシスト!!〕
点滅の間隔が早くなる。
カチッ
『しまっ…ッ!?』
アクマは、玲子を巻き込み自爆した。
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