story

□未完成な私
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だが、攻撃は来るけれどその仕掛けている本体が見当たらない。


姿のないアクマの攻撃に、神田は防戦一方であった。



「(何で奴らの姿が見えない!?結界でも張ってんのか?)」



かなりの数の気配はすれども姿はなし。


混乱する神田にはそうとしか考えられなかった。



「くそっ…!姿が見えりゃこんなもん…っ!!」



神田は気配を頼りに切り掛かるが、やはりそれは当たらなかった。


苦戦するこの現状に苛立ち始めた。



その時







『――…一掃―…』







凛としたものが響いた途端、何十体ものアクマの姿が現れ、次々と空高く昇っていった。


アクマ達は何かに縛られているように動けずにいる。


そしてアクマの大群が全て空に並べられると、今度はサッカーボール大の黒い球体がいくつか現れた。


黒い球体はアクマに触れると、球体はアクマを丸々飲み込んだ。


他の球体もそれを合図に次々とアクマを呑んでいった。


アクマを呑み、次第に大きくなっていく黒い球体。


神田はその光景を目の当たりにし、生唾を飲み込んだ。



「アクマを…、喰ってる……!?」



アクマを呑み続け、それに伴い拡大していく黒い球体。



空にあったアクマ全てを呑み込むと、球体はお互いに接合していった。


一つの塊となった黒い球体は、その大きな影で神田の影を覆い隠してしまうほど大きくなっていた。



「…何だ、あれは…」


「ユウ――!!」



遠方から聞こえる声に神田は反応しその方を向く。



「…てめぇか。俺をファーストネームで呼ぶな、切るぞ」



神田は自分の名前を読んで近寄ってくるラビに六幻を突き付ける。



「うわわっ!!?何するんさユウ!?」


「…まだ分からねぇようだな…って、何でてめぇが此処にいる」


「(突っ込んだ!?)あぁ、それは…」



ラビはトルコでの噂、アクマが誘うようにして逃げた事そして物凄いスピードで障害物競走をした事を神田に話した。


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