story

□空を眺めて、何を思う
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アクマと遭遇して消えた玲子。


度戦う術なく消えてしまった。


俺が玲子を守ってやればよかったんだ。





―違う…。



俺はあの時どこかで玲子なら大丈夫だと思い込んでいたんだ。


出ていっても平気だと。


でなきゃあんな簡単に行かせたりはしなかった。


玲子の腕を引いて、引き止めて、無理矢理でもここに留めて置けばよかったんだ…。


俺のせいだ。


俺がちゃんと玲子を見ていなかったから。



玲子…、どうか、どうか早く



帰って来てくれ。




見上げた空は青く、広く――











玲子ちゃん…。



リナリーがふさぎ込んでしまった。明るいリナリーをそんな風にしてしまったのは僕だ。


リナリーにとって玲子ちゃんは唯一話せる女の子だったもんね。



引き離すような事してしまって、ごめんね…。


僕のせいだね。


コムイは室長という立場を忘れ、数週間程嘆いていた。




―…行かせてしまった。



まだイノセンスを使いこなせていない彼女を、玲子ちゃんを行かせてしまった。


まだエクソシストとしても未熟な彼女を行かせてしまった。


もっと使いこなせるようになってから、と言っておけばよかった。


よく考えなかった自分の軽率な行動にコムイはうなだれた。


後悔してもしきれない。


時間は進ばっかりで、止まることはない。


もし、刻を戻すことができるなら、初めて彼女に会った時まで戻してほしい。



彼女はこちら側に来て不安だった。


知らない国で、知らない場所にたった一人で。


彼女自身もここに来た事に驚いていて不安だっただろうに、僕と来たら教団の為だとか、ここの秩序だとか言って、僕自身に玲子ちゃんを相入れないようにしていた。


それでも玲子ちゃんは、少しでも僕に不安を与えないようにと頑張っていた。




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