story

□空を眺めて、何を思う
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フランスから始まった任務はいつの間にか場所を変え、スイスヘと移っていた。


神田の追うアクマがその方向へと姿をくらますからだった。



「ったく!なんでこんな面倒な事になってんだよ!」



場所を移りながらも、玲子の確認をする神田。


玲子…。


お前、生きてるんだろ?


アクマなんかに負けねぇって言っただろ?


だったら何でいなくなってんだよ。


調子に乗りやがって…。


俺達がこんなにも探しているのにお前は見つからねえじゃねぇか。


どんだけ心配かけてるか分かってんのかよ、玲子…。



俺達がこうやって探してるうちに早く、




早く帰って来い…。




優しく吹く風に髪を遊ばせて









玲子…。



遠方任務で出回っているラビ。


南アフリカからエチオピア、サウジアラビアに移り、今はシリアにいる。



ブックマンの性からか、国から国へと移動するにはもうすっかり慣れてしまっていた。



皮肉なもんだ。



ブックマンになるために国々を回っていた。



それなのにイノセンスと適合し、一つの場所に留まっている。


そして、傍観者であるために平常心を貫いていたはずなのに。


こうも見事に崩されるなんてな。


玲子がいなくなった聞いた時、全身から冷や汗が噴き出した。


鼓動も速くなり、足が震えた事を覚えている。


俺の中で玲子の存在は大きかった。


いくら平常心を保とうとしてもそれは叶わなかった。


それはブックマンにあるまじき行為だった事は分かっている。


だが、暇さえあれば玲子の事を考え、玲子の事を探している。


俺の頭に玲子の姿がちらつく度、思い返してしまう。


どうしてあの時一緒に行かなかったのだろう、と。


あの時玲子を止めていればこんなに自分自身を制御できなくなるなんて事にはならなかっただろう。




玲子は無事だろうか…。




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