story
□空を眺めて、何を思う
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「リナリー、ごめんね…」
「兄さん…」
「…僕があの時玲子ちゃんを止めなかったから…」
コムイはリナリーを抱き抱え、顔を歪めた。
その口から出てくるのは、後悔の言葉ばかり。
「でも、玲子ちゃんはまだ死んでしまったわけじゃないから…」
「そんなのだって分からないじゃない!!まだ玲子は見つかっていないんでしょ!?」
かばっと顔を上げ、コムイに向かって叫ぶリナリー。
どんなに小さな希望があったとしても、いまのリナリーの耳には入らなかった。
僅かな可能性に賭けてみても、それはほんの気休めにしかならない。
もし、最悪な結果だったとしたら落ち崩れるのが目に見えている。
リナリーはそれが分かっているようだった。
「…どうしよう…怪我でもしてたらッ。玲子は病院には搬送されてないんでしょ…?」
コムイはリナリーの問いにただ頷く事しかできなかった。
「…アクマに遭遇したなら、何処かしら負傷してるだろうな…」
神田は眉間に皺を寄せ、さらに強く拳を握り締めた。
「コムイだけのせいじゃないさ。俺達もあの時ついて行けば良かったんさ…」
ラビはぐっと顎を引き床を見つめる。
目に映っているのは床の模様のはずなのに、なぜか頭にはあの時の玲子の姿が浮かぶ。
あの時の玲子の様子はおかしかった。
いつもみたいな元気が無かった気がする。
そう気付いていたはずだ。
それなのに、着いて行かなかった。
着いていけばこんな事にもならなかった。
自分自身取り乱したり、リナリーが泣いたり、玲子を失う事さえ無かっただろう。
神田とラビはその時の事をひどく悔いた。
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