story

□闇に消失
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「うん、君の団服だよ」


『…?ファインダーの団服でしたら貰いましたよ?』


「違う違う。エクソシストのだよ」


………エクソシスト?


『あたしエクソシストなんかじゃ…』


「任務の後、ヘブラスカの中にあったイノセンスと適合したんだよ?」


覚えてないの?とコムイは玲子に聞いた。


「適合した後君は丸三日間眠っていたよ」


コムイはリーバーに玲子がイノセンスと適合した、という報告を聞いた時の事を思い出しながら話し出す。




リーバーは少しふらつく足どりでコムイの所にやって来た。


「…室長」


コムイはリナリーに怒られたことを引きずりながらメソメソと書類にハンコを押していく。


「なんだいリーバー班長。仕事ならしてる…」


「そんな事じゃありません」


リーバーはそんなことどうでもいいと言わんばかりにハンコを取り上げ、コムイに伝える。


「玲子が…


適合しました…」


あの時のリーバーの表情はとても固かった事をよく覚えている。


コムイ自身も中々信じられずにいたのだ。


「…大分うなされています」


「…」


もう、疑う必要もなくなり安心したにはにたが同時に後悔もした。


玲子を傷付けるだけ傷付けて、適合者だと判明したとたん手の平返したように態度を変えるのか。


暫くコムイはうなだれていた。





『―…コムイさん?』


玲子の声で現実に引き戻されるコムイ。


「え?あ、あぁごめん」


『いえ…あの、あたし適合したって言ってましたけど』


「うん」


『イノセンスはどこに?』


玲子は自分の体内にイノセンスが入った事を知らない。


玲子は自分の手をひっくり返したり、足や背中を見るがどこにもあのイノセンス特有の十字架は見当たらない。


『あたしは本当に適合したんですか?』


首を傾げてコムイに問う玲子。


確かに玲子の中にイノセンスは入っていった。


だが、表には現れていない。


コムイは表から見えないイノセンスを不思議に思った。


「イノセンスは君の体内に入っていったから多分君は寄生型だと思う」


『寄生…』


「だから発動してみたら分かるんじゃないかな?」


コムイは発動してみてと玲子に促す。


玲子はそれに従い発動と唱えた。


『発動…』

「!?」


玲子はまた身体を見たが変化している所はない。


顔を上げればコムイの驚いている姿がある。


『コムイさん?』


「玲子ちゃん、君…眼が…」


玲子がイノセンスを発動した途端、玲子の眼は輝くような紅に染まっていった。


その現象に驚いたコムイ。


そして、コムイは自分の身体の異変に気付く。


「(…身体が、動かない…?)」


玲子がイノセンスを発動したと同時にコムイの身体は動く事が出来なくなっていた。


これが彼女の能力(ちから)か。


「玲子ちゃんもういいよ。発動を止めて」


玲子は発動を止めると、瞳の色はいつも通りの茶色い眼に戻った。


「成る程ね」


玲子のイノセンスを多少理解したコムイ。


『それで、あたしのイノセンスは…?』


「うん、君のイノセンスは"眼"だね。それも寄生型の」


『眼…?』


「流石に自分の眼は見れないからね」


コムイは軽く笑うと推測で玲子のイノセンスについて説明する。




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