story

□平穏、不穏
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「…そういえばラビ、兄さんが呼んでたわ」

「へ?」

「神田の事も呼んでたし、任務じゃないかな」

「早速任務か!」


リナリーの任務への呼び掛けに、声を弾ませて喜ぶラビ。ラビにとっては初任務だ。


『わ、いってらっしゃい。頑張って』

「玲子の事も呼んでたわよ?」

『え?』


玲子は任務から帰って来たばかり。恐らく報告が何かだろう。
それに、ついでに頼みたいこともあるし行ってみるのもいいか。
そんなことを考えながら、玲子は自分が所持していた鞄に目をやる。


「具合はもう平気?」

『ばっちり、平気だよ!』

「病み上がりなのにごめんね。神田の事も探してくれない?」


ラビと神田は同じ任務だと思うから、と言ってリナリーは席を外した。
玲子はベッドから降りてラビと目を合わせた。


『それじゃあ行きますか』

「おう!」


玲子とラビは修練場で神田を見つけ、三人でコムイの所へと足を向けた。






「やあ、呼び出しちゃってごめんね。早速だけど…」

「任務の話さ?」


目をきらきらさせながらラビはコムイに聞いた。その様子を見たコムイは軽く笑い、隣に座っている神田はため息をついた。
玲子はソファに座っている二人の後ろに立っていた。


「玲子ちゃん、もう具合は良いのかい?」

『はい、大丈夫です』


コムイはちらりと玲子を見て確認を取ると任務の話をし始めた。


「それじゃあ君達には任務へ行ってもらうよ。勿論玲子ちゃんもね」

『え?』


コムイは地図を取り出し、任務内容の記されたファイルを神田とラビに渡した。
そして玲子には二人より少し厚めのファイルを手渡した。


「今回の任務はそう遠くないよ。イギリスの田舎町に起こる奇怪を調査」

「確かに近いな」

「詳しい事はファイルに書いてあるから目を通しておいて。イノセンスがあったら回収、無かったら報告だけで良いからね」


大まかな説明を終えると、コムイはラビに目をやり。


「今回はブックマンは別の任務に行ってもらってるから一緒じゃないよ?」

「やったさ!」


蹴り飛ばされずに済むといってラビはガッツポーズを決める。コムイはそんなラビに苦笑するだけだった。


『…あの、コムイさん』


盛り上がっているラビは置いといて、玲子はコムイに話し掛ける。
玲子は持っていた鞄の中から棒のように太い針を取り出しコムイに見せる。


『…この針、ていうか槍みたいなものなんですが、元はあたしのクナイだったものです。それが今回の任務でアクマによって改造されました』

「アクマに?」

『はい。それで、この改造された針でアクマを攻撃したところ、ダメージを与えることが出来ました』

「うん、それで?」



コムイの表情は段々変わっていく。




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