story

□平穏、不穏
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そんな会話を少ししながら玲子はさっさと着替える。


『終わったよ』


玲子の一声で二人は振り向いた。


『…変かな?』

「悪くはないな」


神田は玲子に率直な意見を言う。
玲子のファインダー服は多少ズレはあるが動きやすそうだ。


『あたしが注文したんだよ。動きやすく使いやすいようにしてって。ただ…』


動きやすく使いやすい事を追求し、改良してもらったデザイン。

それが唯一注文とズレているのだ。

右側には深いスリット、ウエストを強調させるようなベルトのデザイン。


『…本当はパンツスタイルが良いって言ったんだけどな…』


今履いているのはショートパンツ。スリットが入っているのにショートパンツでは太股しか見えず、何も履いていないように見える。

玲子はそれが恥ずかしかった。


「別に、履いてんなら恥じる必要ねぇだろ。似合ってんならそれでいいじゃねぇか」

『神田ってデリカシーないよね』

「……」


玲子は神田に呆れ半分の視線をやる。





「(…ヤバイさ…)」


ラビは目のやり所に困っている。

歩くたびに見える右足。

その肌の露出を控えるように履かれた長いソックス。

すらりと伸びた綺麗な脚。

そんな脚をちらつかせながら歩く玲子の姿。


「(ヤバイ…、本気で…)」













『…?ラビ?』


ラビは玲子のチラリズムに見惚れていると、玲子と目が合ってしまった。
覗き込んでくる玲子を急いで視界から外し違う方向を見るラビ。

今さっきの己の想像が物凄く恥ずかしく感じ、ラビは顔を赤くした。


「(俺…、変態じゃん…)」


脚のチラリズムとか、おやじ思考はやめよう。

俺はまだ16歳…。


「お前あいつと目を合わせるな。あいつは変態だ」

「…なっ!」


神田はラビの痛い所を突いて来た。


『ラビ?』

「ちっ、違うんさ玲子!俺は…ッ!」


慌てるラビと対象的ににやりと笑う玲子がいた。


『ふふーん?ラビはチラリズムが好きなんだ?』

「…だっ、だから!」

『どうだチラリズムっ!』


玲子は腰をくねらせ右足を出しラビに見せつける。

ラビの顔は段々おかしくなっていった。


『…ラビ?』

「…い、…生き地獄……」


ラビはその場で倒れてしまった。


『えっ?ラ、ラビ?ラビ!?』

「…失神してるな、こいつ」

『ウソッ!女の子が男の子の露出姿を見て気絶するのは分かるけど…』

「……」


『男が女に気絶する事ってあるの?』

「…知るか。俺に聞くな」


突然の出来事に唖然とする二人。その失神したラビを担いで舟に乗せたのは言うまでもない。




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