story
□月日始まる刻 前編
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汽車に飛び乗った玲子は中に入り、普通車両に乗り込んだ。車両に入り、席に腰を下ろし、玲子は手渡された書類を取り出し読み始めた。
大まかな任務の話はリーバーから聞いていたので、今度は詳細について確認をしようとしたのだ。
『任務内容は分かったんだよね…。三つの教会かぁ…、どの辺の教会なんだろう?』
玲子は書類の頁をパラパラとめくり、地図の載っている頁を開いた。漠然とした地図がそこにはあった。
『…これ、絶対手書きだよね…』
山があり、川があり、丸で囲まれた"街"の文字。十字路があって病院がある…。
必要な所しか書かれていなかった。
『…これは実際に行ってみないと分かんないな』
まるっきり手書きの地図を見て、玲子はため息をついた。それにしても、そんなに急ぐ任務なのだろうか。手書きで、傍線と文字しかない地図。
…実際行っても分からない気がしてきた。地図を買おう、玲子はそう決心した。
『…ふーん、この教会は山に近いんだ。で、こっちのは…』
新しく買った地図と手書きの地図を照らし合わせると、簡潔ながらも手書きの地図は正確に書かれていた。
『(せっかく書いてくれたのに疑っちゃってごめんなさい)』
一生懸命書いたであろうリーバーに、玲子は心からの詫びをした。その手書きの地図で教会の所を指でなぞりながら、一つ、二つと見ていく。
そして、三つ目に差し掛かったとき、玲子はその教会の名前に驚きを隠せなかった。
『…この教会…っ』
玲子の驚きの声は汽車の汽笛の音で掻き消された。
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