story

□初任務
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「…彼女にはファインダーになれるまで、使わないことにしたよ」

「…?」


リーバーは眉間に皺を寄せながらコムイの答えを待った。だが、なかなかコムイからの答えは返って来ない。


「玲子に何があるって言うんですか?」


リーバーは痺れを切らせてコムイに答えを求める。


「憶測でこんな事言うべきじゃないんだろうけど、玲子ちゃんはもしかしたら…」


リーバーの眉間の皺は更に深くなって、疑問符を浮かべた。コムイの言いたい事が分からないようだ。


「…玲子がなんです?」

「…普通の人間じゃないんじゃないかな…」


コムイは額に当てていた手を外し、今度は眼鏡をかけ直した。

"室長"の顔だ。


「彼女がいきなり門番の前に現れたのはリーバー君も知っているよね?」

「まあ、その場面を見てましたからね」

「手品みたいに現れた、そう言ったね?」

「はい」

「普通の人間にそんな事は不可能だ。そんな芸当が出来るのはエクソシストかアクマくらい。だけど、生憎彼女は普通の人間だった」


コムイは最近玲子について考えていた事をリーバーに話した。玲子が現れた時のことを思い出しながら話す。


「普通の人間がそんな芸当が出来るはずないのに彼女はした。だったら普通に考えてイノセンスに魅入られてもいいはずだ。可能性も高いはずだよ」

「…けど玲子はイノセンスに魅入られていない子だった。だから普通の人間ではないと?」

「…それは、僕の勝手な考えなんだけどね」

「考え過ぎじゃないすか?玲子に怪しい所なんて無かったんですから…」


リーバーは玲子に任務の事について説明をしている時の事を思い出した。リーバーが説明をしている間、玲子は真剣に説明を聞いていた。

時折、任務について分からない所を質問してきた。玲子は任務にたいして、物凄く真剣に取り組もうとしていたのがよく伝わって来たのだ。

リーバーは、そんな玲子に怪しむ所は無いだろうと思ったのだ。


「疑心暗鬼になってしまうのは分かりますが、なり過ぎるのも良くないっすよ?」

「……うん」


コムイはリーバーの言葉にそう返したが、疑惑は振り切れ無かった。


(……玲子ちゃん、君は一体何者なんだ…?)

「室長?川の方に行きますよ」


リーバーに促され、コムイ達は教団内に流れる川の方に降りて行った。




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