story
□喧嘩の後の仲直り
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『ここ…?』
「そうよ。ファインダーの人達がよく集まるの」
リナリーは玲子にそう説明して扉開ける。開いた扉の向こうは、沢山の人達が楽しそうにお喋りしている所だった。
『…談話室?』
「そ、みんなー!新しく入った子よ!仲良くしてあげてね」
小学校の先生が転校生を紹介するかのような台詞をリナリーは言った。
「ほら、玲子も挨拶しないと!」
『あ、…ぇっ、と、玲子・月宮といいます。本当に何も分からないので足を引っ張るかも知れませんが頑張ります!よろしくお願いします!』
ぎこちない笑みを浮かべつつ、玲子はありきたりな挨拶で締め括った。
「さてと、それじやあ…」
「俺、カイ!!」
「オレ、ヴェルマン!ヴェルって呼んで!」
「僕はハルですっ!!」
のように次々とファインダー達に名乗られる。玲子はどう対応したらいいのか困ってオロオロする。
『え、えーと…』
「皆急ぎすぎ!玲子が困ってるじゃない。」
リナリーの一言で、ファインダーの波のような自己紹介は治まった。
「一気に言われても覚えられないわよ。ねぇ玲子?」
『うっ、はい。スミマセン…』
「名前なんて任務をしながらゆっくり覚えていけばいいわ。皆それくらい待ってくれるわよ」
そういってリナリーは玲子に微笑みかけた。玲子もリナリーの笑みにつられて微笑んだ。
すると、リナリーの顔がいきなり険しくなった。ポケットの中をごそごそと探るとさらにリナリーの顔は険しくなった。
「あっ…!私ちょっと兄さんの所に行かなくちゃ」
『えぇ!?リナリー一緒にいてくれないの!?』
「ごめんね!急用なの。一人にしちゃうけどファインダーの皆は良い人だから。じゃあっ!!」
『あぁ、ちょッ…!リナリー!!』
急いで談話室から去っていくリナリーを玲子は仔犬のように見送る。リナリーが出ていって、バタンと閉められた扉。
振り返るとファインダーの面々。
『ぇ…ぇーと…』
玲子は四方八方から名乗られる名前を、頭に叩き込んだのは言うまでもない。
一方リナリーはというと、出ていった扉に寄り掛かりながらポケットをごそごそと漁る。ポケットの中から出されたのは一体のゴーレム。
「…やっぱりね。兄さん、今までの話し聞こえてたよね?」
〔…うん、ゴメンね。盗み聞きするつもりは無かったんだけど…〕
そう言って兄さんことコムイは返事をした。どうやらゴーレムの無線のスイッチが"ON"になっていたらしい。そのため、さっきまでの会話全てがコムイに聞かれていたのだ。
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