story
□不安と信頼
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リナリーに勧められ教団内へと入って行った玲子。門番は[こいつ入れんのかよ―!!]と渋っていた。
その渋り方が尋常ではなかったので、リナリーは女々しいと思い門番を説得しに行った。説得の際、リナリーは小声で門番にこう言ったようだ。
「この人を入れるか、代替わりするかどちらか選んで?」
その言葉は直訳すると、「壊されたく無かったら中に入れなさい」という風になる。リナリーは小声で話していたため、玲子達には聞こえなかった。
ただ神田は、微かなリナリーの殺気に感づき一歩後ろに引いた。
[か、開門ー]
「さ、行きましょ?」
『わぁ、凄いねリナリー。どうやって説得したの?』
「フフ、内緒」
「(脅しだろ…)」
「何か言った?神田」
「…いや何も」
二人のやり取りは少なくともリナリーの方が分があった。そんな二人を横目に、玲子は教団内を見てワクワクしていた。
『(へー、教団ってこんな感じだったんだ)』
教団内は以外にも綺麗だった。ただ、おどろおどろしい雰囲気は変わらなかったが。キョロキョロしと回りを見ていると神田が鼻で笑った。
『何か言いたいならはっきり言って欲しいんだけど?』
「フン」
「あ、そういえば貴方名前は?」
リナリーって結構マイペースなんだね。
『月宮玲子だよ』
「月宮?変わった名前ね」
『あ、名前は玲子だよ』
「月宮玲子?お前、日本人か?」
『うん。』
「そういえば日本独特の格好してるわね」
リナリーの言う日本独特の格好とはこの忍装束の事だろう。
演劇の途中でここに飛ばされて来たのだ。そのためこの忍装束のまま生活していた。この世界に来たのはいいが、替えの服が無かったためそのまま3日間ずっと着ていたのだ。
とは言っても、ちゃんと洗濯してたよ?
「じゃあ神田と同じだね。私はリナリー・リー。リナリーって呼んで。それからこっちは神田」
『うん。(知ってるけどね)』
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