story

□黒い世界へ
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「「!!??」」


二人は攻撃をかわされた事に驚いた。


「こいつ、できる」

「神田、この子…」

『何すんだ!!いきな…』


リナリーは何か言いかけたが、それを玲子が遮る。玲子はこの現状が信じられないといった顔をする。玲子の一瞬の隙を見て神田は玲子の背後に入り、リナリーは正面から攻撃を始める。
攻撃を仕掛けられ、咄嗟に避けた玲子は、自分の身体の異変に気付いた。

『(身体が、軽い?)』


玲子は自分の身体が自分のものではないように感じた。自分のいた世界よりも、とてつもなく軽い。身体の異変に驚きながらも、玲子は二人からの攻撃を正確に淡々と避けていく。
リナリーの足技に神田の剣術、交互に繰り出される。


『(この展開、ちょっとマズイかもね…)』


前後からの攻撃を避けながら、玲子は思った。その避けているだけなのが神田の勘に触ったようだ。
攻撃を避け、ただ受け流すだけで反撃をしない。


「…チッ、ムカつくな。おい、避けてばかりだと足元すくわれるぜ!!」


その時神田は刀を大きく振りかぶった。そのため神田の脇ががら空きになる。玲子は隙を突いて神田の脇を通り、次に演劇で使っていたクナイを神田の刀、六幻に投げ付ける。
演劇でクナイの投げ方を練習した甲斐あって、見事に玲子の放ったクナイは神田の六幻に当たり、弾かせた。


「…く!」


弾いた六幻玲子の足元に落ちた。神田は六幻を失うと2、3歩程玲子との間に間合いをとる。その光景を見てリナリーは驚いたが攻撃は止めなかった。

神田は弾かれた六幻を見て顔を歪めた。

六幻は相手の足元にある。
下手には動けないだろう。

相手はまだまだ余裕がありそうな顔をしているからだ。


「(くそっ!!)」


油断した、と嘗めてかかった自分に嫌気がさす。そう思いながら神田はリナリーの戦いを見ていた。


「はぁっ!!」

『…ッ』


すました顔してリナリーの攻撃をかわしやがる。

ムカつく、神田はまたそう思った。




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