story
□こんにちは、別世界
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教会に着き、牧師に挨拶をするために扉を開く。
玲子は少しばかり緊張…。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ?」
「んー、もしかして玲子、教会来たの初めて?」
『…実は、そうです』
「やっぱりね〜。この独特の雰囲気は私も最初は苦手だったな」
昔の自分がそうだったから、と言ってマリンは苦笑する。
「でも牧師に一目惚れして教会が平気になったんでしょー?」
エリアーデはマリンをからかうように肘で突く。マリンはそんなエリアーデに対し、照れながら「やめて」と言っていた。玲子はほほ笑ましげに二人をみていた時だ。
「マリン」
背後から呼ばれた声にマリンは反応し、振り返る。
「カーフェイ!!」
カーフェイと呼ばれた男は此処の教会の牧師。エリアーデがそう耳打ちした。マリンは嬉しそうにカーフェイに駆け寄り話し出した。
「あのねカーフェイ、この子が…」
恐らく玲子の事について話しているのだろう。旅人で行く宛がない、困っていると大まかな説明をしている。
「…旅の方」
カーフェイは微笑をしながら玲子に話し掛ける。
「小さい教会ですがごゆっくりしていってください」
『あ、はい。すみません』
「どうしても行く宛が見つからなかったら、ここで暮らしても良いですからね」
不覚にも牧師の言葉にじ〜ん、としてしまった。何の為にこの世界に来たのか、玲子は本来の目的を忘れ去っている。
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