story
□こんにちは、別世界
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うずくまり、暫く頭を抱えて悩んでいると…。
「どうしたの?」
頭上から女性と思われる声がした。かけられた声に驚き、はっと玲子は伏せていた顔を上げた。目に飛び込んで来たのは物凄い美女の二人組。玲子を覗き込むように二人の美女はいた。
『…うわぁ、美人…』
思わず声に出てしまった。
それが聞こえたようで二人の美女は顔を見合わせて笑った。
「どうする?褒められちゃったよ?」
「どうするって言われても、決まってるじゃない」
片方の美女は髪は短くショートカット。もう片方は肩に掛かるくらいのセミロング。二人の美女は玲子より年上のようだ。二人は照れ笑いをするとお互いアイコンタクトを取り、頷いた。
「貴女、旅人さん?」
一人の美女が玲子に話し掛けてきた。玲子は少し美女に見とれていたがはっと我に返る。
『あ、はい。そんな感じです』
「宿は決まってるの?」
その言葉は少しばかり玲子の胸にグサリと刺さる。
『それが、まだで…』
半泣きになりながら二人の美女に向かって答えた。すると美女達の顔はぱぁっと眩しい笑顔を作った。美女の笑みって犯罪的に綺麗だ。
男だったらイチコロだろうな。
「だったら、うちの知り合いに頼んであげようか?」
「私達もそこにお世話になってるし!」
それは有り難いと思ったが“知り合い”という言葉に引っ掛かった。
『でも、それじゃぁその人が困るんじゃ…』
「気にしなくてもいいのよ?そこは困ってる人を助けるためにある場所でもあるんだから」
『人を助ける…?』
「そうよ。だって教会だもの」
『教会か…』
「それなら納得してくれるかしら?」
『(…そうか、その手があった!!)』
なんでもっと早く気がつかなかったんだろう。こんな時刻まで泊めてくれと歩き回ったのが阿呆らしい。
黙っている玲子を不安に思ったのか美女は話し掛ける。
「…もしかして、教会は嫌い?」
この美女は玲子が教会の主、キリスト教とは違う信仰者で、教会に行きたくないのだと思ったらしい。玲子はそんなことなど露知らず、美女に笑顔を向けていた。
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