story

□冷たい理由
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驚きすぎて心臓がドキドキいっている。

ソファ寝ていたはずのラビはこちらを見ていて、ため息を着いていた。


『お、起きてたんだ…』

「ついさっき起きた」


ふうん、とかえして会話を断とうとした。

なんだか、ラビの雰囲気が怖かったから。


「…お前さ」


ラビの声が冷たく部屋に響き渡る。

思わずドキッとしてしまった。

落ち着いた声とはいえ、こんなにラビを怖く感じるのは初めてかもしれない。

多分、ずっとこちらを見ているのだろう。視線を感じる。そして怖く思う。

視線の他に、嫌な予感さえ頭に過ぎる。



アナタガ仲間ダカラ



まさか、あれを聞かれていた?

ラビの視線や雰囲気はいつもとは違う。

冷たくて、怒りが溢れているように感じる。

いつもの優しい感じは全く見受けられなかった。


お前さ、のあと、何て言おうとしていたのだろう。



「俺達を騙していたのか」


違う。そんなつもりは全くない。

こんな事言わないで。騙してなんか無い。裏切ろうなんて思ってもない。

だからお願い
そんな目で見ないで


「お、おい玲子…?」


涙が出た。
堪え切れずに、流れた。

裏切ってないよ
騙してないよ


傍にいたいよ


「な、泣くなって、な?」


そんなに言い方きつかったか?ごめんな?と焦り謝り出すラビ。

いつものラビだと思うと余計に涙が流れた。


「どうしたんだよ、いきなり泣いて。俺なんにも言ってねえのに」


何もいってない。でも、ラビの言った「お前さ」という言葉には、「騙していたのか」そう続いているようにしか思えなかった。


『…なんて言おうとしたの…』


何も言っていないという事は、これから何か言うという事。

続きは聞きたくなんか無い。


「俺が言おうとしたのは」


ほら、だってまた冷たい声になってる。

騙していたのかなんて聞かれたくない…――



「無茶すんな、それだけさ」

『……え?』

「だから、無茶すんなって言ったんさ」


ぽりぽりと頬を掻きながら、なんか文句でもあんのかよと目が訴えていた。


「お前無茶しすぎ、無理しすぎ、人頼らなさすぎ」

『…』

「我慢しすぎ、耐えすぎ」

『…ラ』

「ひとりで抱え込みすぎ」

『…!』

「そんなに信用ねぇ?」



前にも言った事あるような気がすんだけど、ひとりで頑張り過ぎてるお前はムカつく。
何で頼んないのかね、そんなに弱くはねぇよ俺達。
まあ、今日玲子に助けられた俺がいう台詞じゃねえけどさ。

ぶつぶつといつラビはふて腐れていたようで、まだ何か言っている。


「お前っていつもそう。全部自分の中でケリ付けようとして何にも言わねぇんだ」

助けてやりてぇとか思ってんのにお前がシャッター閉めてたら意味ねぇよ。

心配かけたくないからとかそういう事じゃなくて、自分から話してくれたっていいんじゃねぇのか。


「心配するしないは俺達で決める。余計な事考えんな」

『…ご、めん』

「分かればいいんさ」


言い切ったと鼻を鳴らすラビ。

ラビには怒られっぱなし?

いや、いつもは優しいから怒られるのは新鮮かもしれない。

心配はかけたくないよ。迷惑もかけたくない。

でもそれを怒るなんてね。


やっぱり優しいから、かな。


「後でちゃんと説明してもらうかんな」


今日は休んどけ!と言ってラビは部屋から出ていった。




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