story

□冷たい理由
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「……?」


いつまで経ってもガードした腕には衝撃が伝わらない。

なぜだとラビは恐る恐る目を開いた。


《…ア…ガッ……!》


アクマはラビの目の前で倒れ灰化した。


灰の向こう側に目をやればこちらを見ている玲子がいた。


玲子はすぐ側にいたアクマを莫で滅すると、同化させた刃をラビに襲い掛かっていたアクマに飛ばしたのだ。


「……玲子…?」

『…ラ、ビ…ッ!』


玲子は走り、ラビの元へ行く。

すべてのアクマを破壊し尽くした灰の上をかけてラビに向かう。

顔を歪ませて来た。


肩で息をしてラビの姿を確認すると、へなへなと膝を着いた。


『…よかっ…た…』

「…玲子…」

『何で着いて来たんだよバカ…。……心配した』


そんな事を言いつつ、玲子はラビの安否を確認すると、ホッとしたのか身体から力が抜け、ラビの前で倒れた。


「…玲子?玲子!玲子!?しっかりしろ玲子!!」


ラビは倒れた玲子を抱きかかえ、体を揺するが反応は無かった。


「…まさかアクマに…っ!?」


やられた、とか…―――!



『…スー…』

「っ!……何だよ…」


静かな寝息がラビの耳に当たった。

生きてる。

イノセンスを使いすぎたのか、ぐったりして呼吸は弱々しかった。

折角さっきまで休んでいたというのに、これでは意味がない。


「とにかく、玲子を休ませないと…」


ラビは玲子を背負い、アレン達との合流を目指し元の道を戻って行った。



*****



『…ぅ…』


だるい。重い。…眠い。
そんな感覚が自分を支配している中、目が覚めた。

起き上がればベッドの上だと言うことに気が付く。

だけどここは一体どこなんだろう。

見慣れない部屋だった。


部屋の模様なかみると、どこかの宿泊施設のようだ。


「お気づきになられましたか?」


ベッドの脇から聞こえた声に耳を傾け、その方向を向くとスキンヘッドの女性が座っていた。

その女性の後ろに、リナリーやアレン、ラビが寝息を立てているのにも気がついた。


『ここは…』

「ご心配なく。ここは我ら教団のサポーターの宿屋でございます」

『…そう』


そのスキンヘッドの女性、マホジャは倒れた玲子を背負ってエクソシストが訪ねて来たという話をした。

クロス探しはアレン、リナリー達が行い、ラビは玲子の様子を付きっきりで見ていたらしい。

ここを訪ねてきたときのあなたの顔色、気を失っているためか分からなかったが、このままでは死んでしまうと思えるほどひどい様子だった。

宿についても一向に目を覚まさないものだから皆心配して離れようとしなかったのですよ、とマホジャは笑っていた。


「無事でなによりです」


マホジャの柔らかな表情に玲子はありがとう、と笑顔で返した。


「では、私は主殿を呼んで参りますのでしばしお待ちを」


マホジャは小さく頭を下げるとその部屋から姿を消した。



気を失っていた、か。

イノセンスを使いすぎたからとはいえ、戦場ではきっと死んでいたのだろうな。


むにゃ…と寝言を言っているアレンに、静かな寝息を立てるリナリー。

目が覚めるまで、ここに居てくれたんだね。


ありがとう…。


『…心配かけてごめんね…』

「ホントさ」


誰も返事を返さないであろうと思い、呟いた謝罪の言葉に短く返事が返って来た。




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