story
□冷たい理由
3ページ/6ページ
一体何なんだ。
ただ真実を知りたいだけなのに、何故こうも遮られなければならない。
…それに
何なんだ、あの真剣な眼差しは。
狂気に満ちた笑みを浮かべるのがティキ・ミックという人物じゃないの?
『何なの…』
まるで答えになってない。
玲子は手にクナイを同化させ、刃を作る。
アクマに向かって踏み込み、左右から来るアクマを薙ぎ払った。
次々と切ったアクマを灰化させる。
アクマは玲子のスピードにはついて行けていなかった。
スピードでは玲子の方が断然上回っている。
灰の落ちる音が段々強く、そして多くなっていった。
『さあ、残るはお前ら二体だけだ。言え、何故あたしを追う?』
刃をアクマに突き付け、ギロリと睨み付ける。
アクマは金縛りにあい、ぐっと押し黙った。
『…拒否権はない。言え』
殺気立った玲子にびくりと身の危険を感じるアクマ。
固く閉ざした口をゆっくり動かした。
それは、衝撃的過ぎる言葉だった。
《…それは、アナタが仲間だからデス…》
『―――…っ』
嫌な予感はしていた。
望んでいたはずの真実だった。
けれど、こんなにも分かりやすい言葉で言われると今更ながら否定したくなる。
『…い…イノセンスを持つ奴が、お前らの仲間なわけないだろ。イノセンスはお前らアクマやノアには有毒なんだ』
そんな、そんな訳無い。
《…それは…アナタの》
《キャッハー!エクソシストだー!!》
一つが問いに答えようとしていた時、もう一つがエクソシストと叫んで走る。
玲子の隙をつき、嬉々と走り出すアクマ。
玲子の背後にいたエクソシストに目掛けてアクマは攻撃を放った。
そこ先には
『…ラビ!!』
「…やっと追い付いた…」
ラビは玲子がレベル2を難無く倒しているところから見ていた。
大量のアクマを薙ぎ倒し、そこに立つ玲子の姿は、やはり強いのだと実感させられる。
自分より強いのだと重い知らされた。
けれど、よく見ると玲子の表情は何とも言えないもどかしい顔をしていた。
これは参戦すべきか迷ったが、その迷っている間にも決着は着いたようだ。
「速ぇ…」
優れていない表情をしていながらも素早くアクマを破壊していく。
あれこれ考えている間にすべて済んでしまったのだ。
「…やっぱ、強いんだな…」
さすが任務のさなかに臨時元帥を任されただけある。
やはり格が違うのだ、と改めて思わされたところだった。
玲子は刃をアクマに突き付け何か話している。
ラビと玲子との距離は大分あり話し声を聞くことは出来そうにない。
「…ベ、別に興味があるだけで盗み聞きする訳じゃないし」
そう言いつつ、場所を変えて徐々に玲子に近づいていった。
「…この辺りかな」
念のため槌を発動させておき、臨戦体制はバッチリにしておいた。
あとは、玲子の会話をと前を見た。
「……え?」
ラビには、顔を青くしている玲子が目に入った。
とても動揺している顔。
そんな玲子の顔に目が奪われてしまっていた。
それがいけなかった。
一瞬の油断、そこにアクマが来たのだ。
はっと気付けばアクマはもう目の前にいて、完全に攻撃を喰らう距離。
イノセンスに手をかけても今更遅い。
せめて防御体制でも取ろうと腕を構え、覚悟を決めて固く瞼をつぶった。
.