story

□鼓動
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『アレンっ!!』



気がついたら、アレンとリナリーがアクマに襲われていた。


早く行かなければ、間に合わない。



「行くぞ!」

『うんっ!』



地を蹴り、急いで守りに行く。


アレンがアクマの弾丸を防いだことにより、辺りは煙幕で包まれて何も見えない状態だった。


イノセンスを発動させ、グローブにクナイと同化させる。



目を懲らしてみると、アレンがリナリーを抱き抱えているのが見えた。


そのアレンの背後に、アクマがいるのも気付いた。


アレンはリナリーを自分を犠牲にし、守ろうとしている。



『…させるかっ!!』



玲子はアクマの背後を取り二つに両断した。



「火伴!」



玲子が両断したものを、ラビが焼き払いアクマは消しかすとなって消えた。






「た、助かりました…」

『よかった。怪我は…』



「怪我はないか」そう聞こうとしていた玲子は、途中でその問い掛けを止めてしまった。



『――あっ…』



アレンの目は、まだアクマを探知している目になっていた。


その目が向けられている場所は





――…玲子だった






「…えっ?あれ…?」



アレンも自分の目の異常に気付いたのか、戸惑いを隠せないでいた。


ただ、余韻が残っているだけだろう。


もう少ししたら、この反応も無くなるはずだ。


アレンの考えは予想通り、玲子がイノセンスを解くのと同時に反応は消えた。


この目にも故障のようなものがあるのかと、アレンは皮肉にも笑っていた。



「すみません、驚かせてしまって…」

『……………』



故障とはいえ、仲間にアクマ反応を示してしまった事をアレンは玲子に謝りにいく。


だが、玲子は無言でいた。



「玲子さん…?」



そう声をかけると、はっと我に返っり、強張った表情から無理矢理笑顔を作っていた。



『ごめんごめん、びっくりしちゃって…』



あはは、と言って玲子は早く汽車に乗ろうと促した。






汽車に乗り込んでも、玲子の態度は少しおかしい。


いくらアレンが話題を振っても、「あ、うん」としか返さない。


…先程の事がそれほどショックだったのだろうか。



「(僕の目が気持ち悪かったから、かな…)」



彼女ならば、そんな事いう訳無いと思いつつ、でももしかしたら、と考えてしまっている。



あなたは今、何を考えてそんな苦しそうに歪んだ表情をしてるのですか…?






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