story

□列車事件
4ページ/8ページ





「…怒った玲子は恐かったである…」

「そ、そうかもしれんけど…」

「まあ気持ちは分かりますけどね。さすがに僕もムカッときましたよ」



やり過ぎかもしれないけど、とアレンは付け足した。


##NAME##はあれくらいがあの連中には調度良いと言って足を組んだ。



「気晴らしに汽車ん中でも見てきたら?乗ったん初めてなんだろ?」

「う、うむ…そうであるな」



コホンと咳ばらいをしてクロウリーはご機嫌そうに車両内探検しにいった。


発動時とはまったく違うキャラのクロウリーを、アレンとラビは手を振って送り出した。



「…にしても」

「ん?どうしたんです?ラビ」



ラビの呟きにアレンは向き、玲子もラビを見た。

ラビは玲子を見て苦笑していた。



『なに?』

「いやなー、玲子が村人とかにキレるなんて珍しいと思って」



あんな村人だったが一応は被害者だった。

いつもの玲子なら被害者にキレたりしないのに。



「ちょっと以外」



そういうと、玲子は黙ってラビを見て口を開いた。



『…"化物"なんて言われて嬉しい人間なんかいないでしょ?』



クロウリーは傷付いたはず。

それに



『…アレンだって』



あたしだって、村人達の無神経な言葉に傷付いた。



『化物って人を馬鹿にしている奴らなんか許せるはずないでしょ…』



玲子の言葉に、はっと我に返るラビ。





――…あ

そうか…、そうだった。

玲子も、昔…




「…ごめん…俺、無神経だった…」



ラビはしゅんとして謝った。



そうだよな…

玲子だって、昔は…

夢で、自分の力に怯えて、それで…。


狂ってしまったんだ…。




「……ごめん…」



軽い気持ちで言っていい言葉ではない。


特に玲子にとっては。

それなのに面白半分で言った自分に嫌気がさす。



『なっ、何で謝るの?あたしが悪いみたいじゃない…気にしないで、ね!』



笑ってラビを元気付けようとする玲子。



『あははは、…………はっ!!』

「玲子?」

「玲子さん?」



笑顔は凍り付き、額から汗が流れている。



「ど、どうしたんです?具合悪いんですか?」

「大丈夫か?玲子」

『…しっ、しまったぁああぁぁあぁ!!』



玲子はそう叫びながら慌てて走り去って行ってしまった。



「……なんだあいつι」



アレンとラビは置き去りにされてしまっていた。


しん、と静まる二人。


沈黙を破ったのはアレン。



「…ラビ。ラビは――」















会話という会話も尽きた頃、時間は3時間を過ぎていた。


一向に帰ってきそうにない二人を探しに車両内を回って歩いた。



「こんな小せぇ汽車回んのにどうやったら3時間もかかるんさ」

「まさか迷子…?」



玲子っいるしまさかそんな事はないだろう。


ガラッと車両の扉を開く。



「ん?
悪いね、今ここは青少年立入禁止だよ」



そういって笑っている男三人と子供が一人。


その男達の前にパンツ一枚で座って、寒そうに震えているクロウリー。


ぽかーん、と呆れてその状況を眺めていた。



『ちょっと!!グルでイカサマしてんだから今の無しだろ!さっさと返さんかコラァ!!!』




……と、怒声を浴びせている一応我が上司こと玲子。



『…ん?』

「え、あ…ええぇぇえぇえ!?」

「玲子なんて格好してんだ!?」



キョトンと振り返る玲子。



『何って……脱がされた』

「「はぁああぁぁあぁ!!?」」

『クロウリーがカモられてて、服取り返そうと思って』



まあ見ての通りボロ負けだけど、と言う玲子。



「悪いねぇお嬢ちゃん」

「また君の負けだよ」

「さてー、次は何くれる?」



ニコニコと笑顔を向けて見る男三人。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ