story
□月日始まる刻 後編
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ラビは昨日と同じ、フランスに来ている。
昨日引ったくりがあった所から、昨日の子の事を街の人に聞こうと思った。キョロキョロと辺りを確認し、昨日見たような顔を探す。
すると、運が良かったのか昨日引ったくりにあった女性を発見した。
「そこのお姉さん」
ラビはその女性に声を掛けた。
だが、その話し掛け方がナンパのように聞こえたらしく、女性は構えてしまった。
「昨日、お姉さん引ったくりに合っただろ?」
取り敢えず、知りたい事を聞いて置こう。その女性は構えつつも返事をしてくれた。
「えぇ、あったわ。だけど昨日の子のお陰で取り返してもらえたわ。あの子には感謝してる」
「その子の事なんだけど、お姉さんはその子が何処にいるとか分かる?」
「さあ、分からないわ…。でもそこにいるおじさんなら知ってるかも知れない」
女性は果物を抱えているおじさんを指差した。
「あのおじさんは顔が広いの。だからその子の事も知ってるはずよ」
「マジで!?サンキューお姉さん!!」
ラビは女性にお礼を言うと早速そのおじさんに近寄る。
「そこのおじさん、聞きたいことがあるんだけど…」
「ん?おお昨日の…」
「え?俺おじさんにあったっけ?」
見覚えのないおじさんは、どうやらラビの事を知っているようだった。しかしラビはおじさんの事は何にも知らない。
見た事のない顔だった。
「お前さん、昨日引ったくり犯を捕まえようとしてただろ?それを見てただけだよ」
「あ、そうなん。なら話は早いや。おじさん昨日の子ってどの辺に住んでるか分かる?」
おじさんは顎に手を当ててうーん、と唸った。
「んー、よくは分からんがあの少年は何時も教会に出入りしているぞ?」
「教会?」
「ほれ、そこの教会だよ。小さいがしっかりしているぞ」
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