story

□不安と信頼
1ページ/10ページ






リナリーに勧められ教団内へと入って行った玲子。門番は[こいつ入れんのかよ―!!]と渋っていた。

その渋り方が尋常ではなかったので、リナリーは女々しいと思い門番を説得しに行った。説得の際、リナリーは小声で門番にこう言ったようだ。



「この人を入れるか、代替わりするかどちらか選んで?」



その言葉は直訳すると、「壊されたく無かったら中に入れなさい」という風になる。リナリーは小声で話していたため、玲子達には聞こえなかった。
ただ神田は、微かなリナリーの殺気に感づき一歩後ろに引いた。


[か、開門ー]

「さ、行きましょ?」

『わぁ、凄いねリナリー。どうやって説得したの?』
「フフ、内緒」

「(脅しだろ…)」

「何か言った?神田」

「…いや何も」


二人のやり取りは少なくともリナリーの方が分があった。そんな二人を横目に、玲子は教団内を見てワクワクしていた。


『(へー、教団ってこんな感じだったんだ)』


教団内は以外にも綺麗だった。ただ、おどろおどろしい雰囲気は変わらなかったが。キョロキョロしと回りを見ていると神田が鼻で笑った。


『何か言いたいならはっきり言って欲しいんだけど?』

「フン」

「あ、そういえば貴方名前は?」


リナリーって結構マイペースなんだね。


『月宮玲子だよ』

「月宮?変わった名前ね」

『あ、名前は玲子だよ』

「月宮玲子?お前、日本人か?」

『うん。』

「そういえば日本独特の格好してるわね」


リナリーの言う日本独特の格好とはこの忍装束の事だろう。
演劇の途中でここに飛ばされて来たのだ。そのためこの忍装束のまま生活していた。この世界に来たのはいいが、替えの服が無かったためそのまま3日間ずっと着ていたのだ。

とは言っても、ちゃんと洗濯してたよ?


「じゃあ神田と同じだね。私はリナリー・リー。リナリーって呼んで。それからこっちは神田」

『うん。(知ってるけどね)』




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ