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□雷嫌い 2
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テストが近づき、部活も休止になったので、久々に一緒に帰れることになった付き合い始めて3ヶ月の彼氏。未だに手を繋いだこともなく、デートらしいデートもしていない。相当のバレー好きだということを知っているし、バレーをやっている彼が好きだから付き合ったのだから、そこは仕方ない。だがこの男、岩泉一はたまに爆弾を落とすからたまったもんじゃない。今日の発言も例に漏れず私にとってはとんでもない爆弾を落っことした。

「吉田、今日このあと暇か?」
「暇っていうか、テスト勉強しなきゃなんだけど」
「じゃあ、ウチこねぇか?」
「うん。いいよ…………え?」
「お前成績いいだろ?分かんないとこ教えてくれよ。」

何故そこで自宅をチョイスするのだろう。学校の図書室とか地域の図書館とかファミレスとか色々あるのに、よりによって自宅!?初デートのラーメンからのいきなり自宅…

「おい、聞いてんのか。都合悪いなら別にいいけどよ。」
「悪くないよ!行く」
「おう」

よく考えると初デートがラーメン食べに行っただけなのもどうかと思うが

岩泉の家は静かな通りの一戸建て。

「及川の家もこの近く?」
「おー、これだ」

そう言って指さしたのは岩泉の家の通りを挟んだ正面の家。

「結構普通なんだね。」
「なんだそれ」
「及川の事だから洋館に住んでそうなイメージあったわ」
「なんだよ、洋館って」

あ、笑顔。普段しかめっ面ばっかだから新鮮で得した気分。

「てか、あいつの部屋普通に和室だぞ」
「え、うそ!天蓋付きのベッドで寝てるかと思ってた!」
「布団だよ、お前の中の及川のイメージってどうなってんだ」

とお腹を抱えて爆笑してる。今までは苦笑と微笑み(と呼べるかどうかは怪しいが)しか見たことが無かった。しかも、その笑顔を私が作ったことが初めて笑顔を見たとき以上に嬉しくて

「…おい、なにニヤニヤしてんだよ」
「いたたたたた!」

頬を掴まれて思いっきり引っ張られた。

「なにすんの!」

なんとか逃げて、涙目で睨み付けてやると岩泉は笑いながら

「あんまり怒るとハゲるぞ」
「その言葉そっくりそのまま返す…いたたたたた!ギブギブ!!」

すぐ暴力に訴える

「…おい、さっさと入れ。雲行き怪しいし」

空を見ると確かに薄暗い。参ったな傘もってないや。岩泉に借りればいいか

「お邪魔しまーす」
「おう。」

緊張気味に未知の世界へ足を踏み入れた
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