王者の日常

□もうすぐ夜明け
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かったるい授業のあとはお待ちかねの昼休み。でもその前に

「遥華!お弁当食べよー」
「先食べてて!私、英太くんに用事あるから」
「分かった!」

友達に断りを入れ、教室を飛び出すと、早歩きで牛島が追いかけてきた。

「相模」
「はい?」
「瀬見の所に行くのか?」
「うん。借りてた本を返しに行く。牛島も?」
「そうだ」

英太くんの教室に着き、中を覗くとすぐにその姿は見つかった。クラスの人に呼び出してもらい、本を手渡す。

「ありがとね、おもしろかった」
「おう!で、若利はコレだろ?」

取り出したのは一枚の紙。何やらイラストが描き込まれている。その紙を受け取り、目を通した牛島が少し息を呑んで固まった。珍しい反応に気になって少し背伸びをして牛島の手元を覗く。

「.........英太くん、これ何?」
「どっからどう見ても部活Tシャツの案だろ!どうだ、若利!」
「...ああ、考えておく」


***



「絵は上手いんだけどねー」
「...そうだな。しかし、正直想像以上だ。まさかこう来るとは」

イラストにはご丁寧に色までつけてあるけれど、イラスト自体は何と言うか人類にはまだ早い感じであった。

「牛島、なんで英太くんに頼んじゃったの?」
「天童が瀬見は白鳥沢のオシャレ番長だと言っていたから」
「それ、多分褒めてない」
「そうか」
「こういうの、賢ちゃんが得意そう」
「白布..そうだな。後で頼むか」

結局、英太くんの案はボツになった。

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