王者の日常

□静かになって
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「よいしょっと…重っ」

体育館の外の水道で作ったドリンクのボトルでいっぱいのカゴは毎度の事ながら重い。

「腰ヤバい」
「老化ですか」
「太一、もっかい言ってみ」
「老化ですか」
「ホントに言ったよ」
「言えっていわれたんで」
「かわいくない」
「別にいいです」
「ちぇっ……!わっ」

なんで後輩達はこうも可愛げがないのだろう。そんなことを考えていると、右腕の重みが、ふっと消えた。横を見ると、軽々とカゴを提げた太一。

「相模さんって、意外と力ないんすね。これ、そんな重くないんすけど」
「なになにー、持ってくれるの?」
「持ちたいですか?」
「いやいや!太一に持ってもらった方がカゴも喜ぶよ」
「ちょっと意味分かんないっす」
「へへ……可愛げはないけどさ」
「はい?」
「そゆとこ、男らしくてカッコイイよね」
「っ!……褒めてもなにもでないっすよ」

あっ、ちょっと耳赤い。照れてるのが丸分かり。本人曰く、女子に褒められるのには慣れてないらしい。

「やっぱり可愛いとこもあるかも」
「カッコイイでお願いします。可愛い担当は白布で。」
「オイコラ太一。聞こえたぞ」
「あっ!賢ちゃん」
「おはよ、賢ちゃん」
「ぶっ潰す」

今日も平和です。

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