王者の日常
□限界まであと少し
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賢ちゃんとお喋りしながらだと、学校までの道が短く感じる。校門をくぐり、部室に向かう賢ちゃんと別れ、更衣室で着替えてから準備をするために体育館に向かった。四月はまだまだ寒くて、指先が冷たくなる。
「さむー…こんな気温であんなにアイス食べたら、いくら覚でもお腹壊すよねー」
「天童が腹を壊したのか」
「うん………ひっ!」
「何だ?」
「いや、何だ?じゃなくて、いきなり話しかけないでよ!ビックリしたじゃん!」
「すまん」
気付かないうちに隣に並び、独り言に参加してきたのは牛島。今日も無駄にでっかい。
「今、俺を貶しただろう」
「なんで分かったの」
「顔に出ている」
「なんか腹立つ…あっ!賢ちゃーん、さっき振り!」
「げっ、相模さん。あっ、牛島さん、おはようございます。」
こいつ、げっ とか言いやがったな。私と牛島への対応の差が毎回酷い。
「ああ、おはよう。賢ちゃん」
「……は?」
「……フフッ」
間抜けな声は賢ちゃんので、笑い声は私のもの。
昨日の一件の後、悪ノリした覚が牛島に、明日も賢ちゃんって呼んであげれば、賢二郎も喜ぶよーとかなんとか言ったらしい。
とにかく笑いが止まらなくて辛かったが、賢ちゃんがかなりの恨みを込めた睨みを利かせてきたので軽く命の危険を感じ、笑いを引っ込めた。