王者の日常

□3年3組
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桜が舞い落ちる4月。最上級生となったものの未だに実感というものは湧かない。けれど、これからの生活も楽しみなものである。

「あっ!牛島!」
「…またお前と同じクラスか」
「なんで嫌そうな顔してるの!?」
「別に」
「そんな牛島若利君に、残念なお知らせがあります。」
「……何だ?」
「席、隣だね!」

とびっきりの笑顔を浮かべると、対照的に普段はほとんど変わらない表情を歪める牛島。

「ちょっと!」
「お前は騒々しい」
「うわー、ねぇ山形!今の聞いた?」
「俺は何も聞いてない」

後ろを通りかかった山形に話題を振るも、面倒ごとは御免だとでも言いたげに速やかに通過していってしまった。

「山形も同じクラスか」
「みたいだね。あっ、牛島の右隣って山形じゃん」
「そうか」
「よかったねー」
「ああ」

一見、投げやりな返事に聞こえるかもしれないけれど、これがこの男のいつも通りなのだ。

「楽しくなりそうだなー」
「…………」
「ま、今年もよろしくね」
「……ああ」

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