人は縁でつながるものらしい

□はてさて転生した先は?
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ふっと意識が戻る感覚。
びくっと体が揺れて目を覚ました。

淡い緑色の壁紙に、温かみのあるフローリング。
小説が詰まった本棚2つに机と椅子。
私が寝ているロフトベッド。

転生前に暮らしてたアパートとは大違いだ。

「これからは、ここで暮らすのか……」

ベッドから身を起こしてつぶやいたとき。

「ゆかり!起きたか?」

ドアを開け、私より少し背が高そうな少年が顔を出した。
ちょっと大きめの瞳や、細い体から幼い感じがする。

「……おはよう、弟よ?」
「おい!俺は童顔でも兄だからな?!」

ありゃ、間違えた。

「ご飯できてるから早く来いよ!休みだからって二度寝すんなよ!」

言葉だけ聞くと、兄を通り越してお母ちゃんのようだ。
こっちの世界ではちゃんと家族がいるらしい。

私はもそもそとベッドから降り、クローゼットの中の服に着替えた。
Tシャツとハーフパンツとパーカー。
私の好みをよく分かっている。

そういえば、家の間取り知らないぞ。

「おーい、ご飯食べに行こー」

下を見ると、あのときのうさぎがいた。

「おぉー、ナビ役か。ありがたい」
「君と一緒に行動することになるからね。
だから、僕に名前をつけてほしいんだ」

それを聞いた私は早速答えた。

「じゃあゆきみ。はい決定」
「即決?!由来は?」
「雪見だいふくみたいで美味しそうだから」
「食べないでね?!」

そうこうしてるうちに居間に着いた。
ドアを開けると、ふんわりした雰囲気の女の人とさっきの兄がいた。

「おはよう。今日は早いわね」
「おはよ!」
「おー、おはよう」

卵焼きや味噌汁、白ご飯等朝ならではのメニューが並んでいる。
ゆきみはにんじんスティックをぽりぽりとかじっていた。

誰かが作るご飯や、誰かがいる食卓がすごく久しぶりだった。
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