かにもかくにも撮るぜベイベ

□中王区、こうだったらいいのにな
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お菓子を食べながら、女性だけの会話を楽しむ。

パイには、軽く焼き色がついたメレンゲがこれでもかというほど乗っている。フォークを入れると、サクッと簡単に切れて、口に入れればレモンの甘酸っぱい味が広がっていった。

「でも、私を使う意味って本当にあるんですか?もっとナイスバディな美人さんが来た方が、喜ばれる気がするんですけど」

「じゃあ棗さんは、会ったことも話したことも無い、誰もが見惚れる肉体美を持つ美丈夫をいきなり貰ったら、どう思う?」

「写真のモデルになってもらいます」

「そうじゃなくて!困らないの!?見知らぬ男が家に来るんだよ!?」

「……あ、なるほど!」

「分かって貰えたみたいね。ちょっとびっくりしちゃったわ。あなた、他の人と少しズレてるって言われない?」

「直接言われたことは無い気がします」

「……まぁ、あなたがどう思っていても、あなたがあの男たちにとって、大事な存在であることは変わらないわ。あなたは、行政監察局局長である無花果様が選んだ女性なのだから」

"大事な存在"って言い方は、大げさじゃないかなぁ……。

私はあの18人のことを、仲良しの友達だと思っている。私にとって友達というのは、家族と同じくらい大切な存在だ。多分、いつか彼氏が出来たとしても、友達に何かあったらそっちを優先するかもしれないくらいには。

皆は私のこと、どう思ってるんだろう。
お互いの思いの強さが同じとは限らないから、少し不安になる。

私にとっては大事な友人たちだから、そんな彼らの邪魔にはなりたくないな。私が捕まってることで、皆の重荷になってたら嫌だな……。

私がうつむいて暗い顔をしていたせいか、優しそうな人が少し慌てた様子で、椅子から立ち上がった。

「そ、そうだわ!この後どこかへお出かけしない?ずっと室内にいるのも退屈でしょう?」

「ディビジョンバトル……は興味無いんだっけ。じゃあブティックとか宝石店とかどうかな。行きたい場所ある?」

「え?えーと」

「何処でもいいわよ。好きな場所を言ってみて?」

「それじゃあ……植物園とか、本屋さんに行きたいです」

「あなた、欲が無いって言われない?」

「たまに言われます」

END


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