かにもかくにも撮るぜベイベ
□ラークスパーの遺品
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小鳥遊 飛燕。
元海軍。享年25歳。理鶯の昔の仲間。
俺、入間 銃兎は、その男について細かな情報をかき集めていた。
あの理鶯が珍しく頼み事をしてきたのだ。応えるのが筋だろう。
理鶯から聞いた話をまとめると、小鳥遊 飛燕は明るく気配りが出来る人物で、肉親は父母と妹がいるらしい。
小鳥遊姓の人間に焦点を当てればすぐに見つかるだろう。そう思ったが、何故かそれらしい人物は見つからなかった。
小鳥遊 飛燕について調べ直す中、部下伝いで連絡が取れたヨコハマの情報屋から、新たな情報を得ることができた。
「小鳥遊 飛燕は、12歳の時に両親を交通事故で亡くして、母方の叔父さんに引き取られたそうですよ。ちなみにこれが、その叔父さんの名前です」
情報屋が経営しているバーに呼び出され、個人情報がまとめられた紙を手渡される。
とんとんと指で指されたその名前を見て、俺は思わぬ繋がりに目を見張った。
「その様子だと、お知り合いですか?」
「……いえ、知人に名前が似ていましてね。情報提供、感謝します」
「"お返し"期待してますねー。あ、僕から、お姉ちゃんによろしくと伝えてください」
「自分で言ってください。彼女なら、毎日のようにこの店に来るでしょう?」
「あはは。このセリフ、1度言ってみたかったんですよ」
シェイカーをお手玉のように操りながら、栗花落 琉架はぱっちりした目を細める。
彼女も少年のような格好をしているため、宝塚の男役のような部下を思い出した。
酒の代金を払って店を出る。
脳裏に焼き付いた名前を思い浮かべ、俺は夜のヨコハマを歩きながら独り言ちた。
「探してる奴は、案外近くにいたみたいだな」
"月見里 檪"
それが小鳥遊 飛燕の叔父の名前だった。