かにもかくにも撮るぜベイベ

□控えめに言わなくても破壊力すごい
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10代ならではのトレンド感を目の当たりにして、心に余裕が出来たと思ったら。

シンジュク代表の麻天狼の皆様に、大人の色気というものを叩きつけられた。

「オサンカタ、カッコイイデス」

「お褒めいただき光栄だよ。子猫ちゃん」

「なぜ片言」

「あまり連写をすると、メモリがすぐにいっぱいになってしまうよ?」

白衣が印象的だった神宮寺先生は、徹底された全身モードで決めていて、揺るがない自分らしさをひしひしと感じた。まさに余儀は無い私は揺るがない。
唯一ちらりと見える足首からは、色気がにじみ出てる気がする。

伊弉冉さんは、綺麗に見せたいという気持ちが垣間見えるようなアイテムの選び方をしていた。細いネクタイとか、ヒールのある靴とか。
ウエストにシェイプの入った花柄ジャケットなんて、自信が無いと選べないやつだもん。

観音坂さんはデザイン性の高いジャケットに、ハイウエストのテーパードパンツを合わせていた。瞳の色と合わせたようなエメラルドグリーンのタートルネックと、長めに垂らしたリングベルトがよく似合ってる。
ルーズさが出てて、綺麗にまとめた伊弉冉さんと好対照だ。

「高級なレストランにいても違和感が全く無いです……。フォトスタジオじゃなくて外で撮影したい……」

「こ、この格好で外に出るのはちょっと……。俺としては、正直服に着られてる感じがする……」

「そんなことないです!私は新しい観音坂さんの魅力を発見できて嬉しいです!」

「子猫ちゃんの言う通りだよ。もっと自信を持って、独歩くん」

「うぅ……」

恥ずかしそうな観音坂さんの猫背を、伊弉冉さんが励ますように叩く。
その様子をほのぼのした気持ちで眺めていると、神宮寺先生が声をかけてきた。

「君が良ければ、今度一緒に食事でもしませんか?」

「えっ!?良いんですか!?」

「もちろん。君とは、ゆっくり話をしてみたいと考えていたので。それから、私のことは名前で呼んでくれて構いませんよ」

「えと……じゃあ、じ、寂雷先生」

「……子猫ちゃん。僕のことも、名前で呼んでくれるかい?」

「で、できたら俺も……。お願いします」

何だろう。今日は麻天狼の人たちがグイグイ来てる気がする。
1人だけ名前呼びだと、仲間外れみたいだからかな。この3人も仲良しなんだなー。

「分かりました。一二三さん、独歩さん」

お2人の名前も呼ぶと、一二三さんは思わず見とれてしまうような微笑みを浮かべ、独歩さんは頬をうっすら赤く染めて口元を緩めた。

名前呼びがそんなに嬉しかったのかな?
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