かにもかくにも撮るぜベイベ

□宣伝って大事
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最後はシブヤ代表のチームだった。

「よろしくねっ、オネーさん☆」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

リーダーの飴村さん、パーリーピーポー感溢れる可愛い系男子に見えるけど、実は成人男子なんだっけ。いや詐欺だろ。

「じゃあ撮影始めていきましょうか」

「あ、その前に1つ。実は小生カメラに写ると魂を抜き取られてしまう体質でして。どうにか写らなくても良い方法を模索したいのですが」

「それ本末転倒じゃないですかね!?」

「まあ嘘なんですけどね」

「なんだ嘘かー。なら心置き無く撮影できますね。飴村さんスタンバイお願いしまーす」

「えーっ。その呼び方他人行儀だからヤダー!乱数って呼んでよオネーさん!」

夢野さんの嘘発言を脇に置いて仕事に取り掛かろうとしたとき、飴村さんが不満そうな顔で頬をふくらませた。子供か。

「いいじゃないですか。私たち今日初めて会ったばかりの他人ですし」

一郎くんたちは名前で呼んでたけど、それとこれとは別だよ。だって彼ら全員同じ苗字なんだもん。

「むぅ。乱数って呼んでくれないと、僕撮影に参加しないよ?良いの?」

「それ私も困るけどあなたも困りますよ!?めんどくさいな乱数さん!」

「あんた正直だな」

「よく言われる」

有栖川くんが楽しそうに笑う。
乱数さんはとりあえず機嫌が戻ったようで、くるりと回りながらカメラの前に立ってくれた。

「あ、そうだ。3人にはそれぞれ小道具を持ってもらっても良いですか?他のディビジョンにはない個性を表現したいので」

「おけまるー!じゃあ僕は自前のキャンディ使うね♪」

乱数さんは自分の髪と同じピンクの棒付きキャンディーを両手に持ち、イマドキ女子高校生のように動きのあるポーズでキュートに決めてくれた。

相当カメラ慣れしてるなこの人。

「では麻呂は、麻呂が書いた小説を使うとしましょうか。丁度こちらにあるのです」

「準備いいですねー。知的な雰囲気がすごく出てます!」

それにしても夢野さん、書生さんスタイルがよく似合うな。スタジオにカンカン帽あったら絶対被せてた。

「俺はこのサイコロでいいか?」

「じゃあ試しに撮ってみるね。軽くサイコロを上に投げてみて」

有栖川くんに指示を出し、試し撮りをしてから写真を見る。
サイコロが小さいせいか、上手く写っていなかった。

「うーん……。ごめん有栖川くん。サイコロだとインパクトに欠ける」

「マジかよ!何か良いのねえのか?」

「そうだな〜……。あ、」

スタジオをぐるりと見回したとき、隅に置いてあった1つのラジカセが目に止まる。
私はそれを抱え、有栖川くんのところに持っていった。

「ちょっとこれ肩に担いでみて!」

「ラジカセ!?っと、こうか?」

「あー!良い良い!キタコレ!」

目を引くようなインパクトが出てて、私はすぐさま不敵な笑みの彼を写真に収めた。

「なぁなぁ、俺のことも名前で呼んでくれよ!有栖川なんて堅苦しい苗字、呼びづらいだろ」

「グイグイ来るねぇ君。帝統くんでいい?」

「おう!」

「おや。乱数と帝統のことを名前で呼ぶのなら、余のことも名前で呼んでくれたまへ」

「じゃあ幻太郎さんで。口調コロコロ変わりますね。性格ブレませんか?インサイドヘッドに何人いますか?」

「35億と5000万人はいますね」

「地球上にいる男の数やないかい」

「まぁもちろん嘘ですけど」

「お前ら初対面なのにコントかますなよ!」

「2人とも面白ーい!」

この後、彼らと連絡先交換しました。

END


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