人は縁でつながるものらしい

□はてさて転生した先は?
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家はすごくいい。
でも、結局この世界はどんな感じなんだろう?

そう思って少し出かける準備をして玄関に向かうと、兄とゆきみがついてきた。

「あれ、どこ行くんだ?」
「散歩」
「あんまり遠くまで行くなよー?引っ越してきたばっかなんだから」
「はーい」

返事をしながらゆきみを肩にのせる。
水色のスニーカーを履いて外に出ると、けっこう建物が立っていた。

ちょっとした都会っぽい。

人の間をすり抜けながら散歩する。
なんだかここ、見たことあるような……。

「そういえば、ゆきみって結局何なの?」
「僕?神様に近い存在かなぁ」

まあ何となく予想できてた。
人を転生させるなんてうさぎにできるはずないし、何よりうさぎはしゃべらない。

まあ男子高校生の用心棒をしてる妖もいるわけだし、神様的なうさぎがいたっておかしくないか。

「あ、コンビニみっけ。ダッツ買おー」
「だっつ?それなに?」
「アイスだよ。ちょっと高いけど」

キャラメルもいいけど、イチオシはストロベリー。
あ、ゆきみにもあげようかな。
景気づけに2つ買って帰り道を歩いていたときだった。



「……ゆかり。何か聞こえなかった?」

ぴくりと長い耳を立ててゆきみが言った。

「え、何も。うめき声でもした?」
「こわい例え方しないでよ!なんか、カーンって木の音」
「誰か薪割りでもしてるんじゃない」
「なんでこんな街中で薪割りする人がいるのさ!」

適当に答えてゆきみに突っ込まれたとき。

ぽつり。
頬に雫が当たった。

「つめたい!」

ゆきみにも落ちてきたようで。
上を見上げれば、青空から糸のような雨が少しずつ降り出す。

「あれ、天気雨といえば……」
「わっ?!ゆかり!何か周りが!」

どこから湧いたのか、真っ白な霧が辺りを覆い始める。
そしてさらに、血を流したような赤黒に染まり出した。

禍々しい空間に、見覚えがあった。

「もしかして、ここって……」

そのとき、仮説を裏付ける音がした。
ゆきみが話したような木の音。
そう、まるで下駄のような。

「────ねえ君、何か面白い話をしてよ」

ぼんやり浮かんだ人影。
耳に馴染んだ声が、知ってるフレーズが聞こえた。
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