戦国無謀

□めでたき日
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「あ〜あ。かったるくてやってらんなーい。」
藤孝の近習であるみきが、大きな愚痴をこぼす。
「まあまあいいんじゃない。みきちゃんも
一休みするには丁度いいと思うよ。」
と気が進まないみきを彼女に同行している半兵衛が励ます。
織田の重臣たちが武田攻めの軍議をしている頃、
彼らは今、何故か播磨国のとある温泉へと向かっていた。
二人が宿所に着くと今回の騒動の主役である、藤孝が出迎えた。
「おう。お主らよく来たわ。
今日はゆっくり休みぃ。
本題は明日からや。」
半兵衛とみきは与えられた部屋につき、ふぅっ。と一息をつく。
それも束の間、「ごめんなさいね。」とみきは笑顔を交えながら、半兵衛の腕を取る。
いきなりの行動に半兵衛は少し動揺したが、何か覚悟を決めたような笑顔になった。
そして間髪入れずに、
「ゆっくりお願いね。好きなようにしてごらん。」と低い声で囁いた。
(みきちゃんって、案外積極的だなぁ。)
その言葉を受けたみきはニッコリ微笑んだ後、半兵衛と自身の身体を畳に密着させた。

その頃、藤孝は今滞在している宿所を確保した官兵衛と世間話をしていた。
「チッ。まさかこんな羽目になるとは。思わんかったわぁ。」
藤孝がいつになく愚痴をこぼす。
「これに関しては貴殿がやらかした事でござろう。少しは自重なされ。」
官兵衛が子供を叱る親の如く、
藤孝を諭す。
だが藤孝はそれに微笑んだ。
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