戦国無謀

□休みませう。
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みきの助言もあり、ようやく首を縦に振った藤孝は何故か、
絵師の狩野と一緒に町を散策していた。
すると、織田の同僚である秀吉と勝家が喧嘩しているのを丹羽長秀が仲裁していたので、狩野に筆を取らせた。
ここで狩野もみきが藤孝に言った内容に気づいた。
「まさかこの方、これを書かせたくて外に出ようと言ったのか。
こんなにおもろい考えの御仁は初めてだ。」
そんな二人の様子など露知らずと、秀吉と勝家は公衆の面前であるにもかかわらず、悪口、猥言、嫉妬というありとあらゆる言葉の暴力がこの地に鳴り響くのを、
藤孝はニヤニヤしながら瞬きせずに見ていた。
ふと、何かを思いついたように
藤孝はそばにあった石で何やら、
地面に印をつけた。
追い風や 土をやすめに いくなかれ
傷つきたるは 二羽のシギなり
「そこで何をしておられる?」
その様子を覗き込んだ一人の人物が、後ろから二人に話しかける。
「三成か。ちょいと野暮用や。」
と藤孝は振り返らずにぶっきらぼうに言う。
「やはり貴殿は何を考えているのか、俺には見当がつきません。」
その返答を聞き終わり、藤孝は三成に向かい合いながら、
「三成、ええ所に来た。
今から、ねね殿の所に行こうと思うてたんや。」と言う。
三成も「ほう。で、俺に案内をしてくれと言う訳ですか。」
藤孝は首を傾げながら、
「さにあらず。あの野暮な物事を粋に解決するんや。
俺らは先に待ってるぞえ。」と
問題の三人を指差しながら、
笑顔で言った。
その瞬間、三成は絶句した。
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