戦国無謀

□愛する人よどこへ行く
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二人はある場所へと向かった。

そして間もなく目的地へと到着した。
そこは二人が今は亡き半兵衛と一緒に
最初で最後のお出かけをした場所であった。
だが、今度は夜ではなく昼の山中へと分け入った。
二人にはある目的があった。
それはとても公言できるようなものではなかった。
二人はそれぞれ別の役目があるのでここで一旦二手に分かれた。
その時みきはもう泣き止んでいた。
藤孝は分かれる時、みきに投げ槍数本と種子島一丁と弓を無造作に渡した。
みきの目に迷いはなかった。
しばらくして二人はそれぞれの背中いっぱいに膨らんだ風呂敷包を持ちながら、下山した。
そして夕刻。
二人は自らの宿である一軒のとある知り合いの民家へと向かった。
二人は中へと入るや否や、
風呂敷の結び目を解いた。
その最中、みきは藤孝に少し不安そうに話しかけた。
「ねぇ、本当にこんな事をしていいんですか?」
藤孝は今更なんだ、という目で
みきの方を向き一言、
「ここまで来たんや。取り返しの付かんうちにやるしかない。
今日は徹夜ぞ。」と言った。
そして二人は何やら怪しげな作業を始めた。

それから暫くして、作業を全て終えた。
その頃にはもう草木も眠る丑三つ時であった。
その夜明けに二人はその家主である知り合いの手に何かを持たせて、意気揚々と去っていった。
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