戦国無謀

□月を超えろ
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そんな官兵衛を尻目に、
藤孝は半兵衛に対して何やら耳打ちをする。
「おい、半兵衛や。大事なこと忘れとらんかえ?」
それに対し、半兵衛も
「俺に任せて下さいって。知ったら秀吉様も官兵衛殿も驚くでしょうねぇ。」と鼻高々に返す。
そんな二人の様子を見て、気になった秀吉が二人に問いかける。
「半兵衛。何を笑うとるんじゃ。
ワシらの事が羨ましゅうて仕方ないんか。藤孝殿よ、あんたも何か言ったらどうなんじゃ。」
それにはまず藤孝が口を開いた。
「秀吉殿。俺らは確かに官兵衛がこれだけ主人にようよう大事にされているのが羨ましゅうて羨ましゅうて嫉妬しそうですわ。
だが、それは皮肉で言ってるのではありまへん。なぁ、半兵衛。」
それに呼応した半兵衛が
「ほんとに羨ましいな、二人とも。
でも二人は気付いてないようだから見せてあげるよ。
俺の最強の軍略を。」と言いながら、手をパン!パン!と二回叩き、合図をした。

そこにはもういないはずの人物が立っていた。
官兵衛の嫡男、松寿丸である。
松寿丸は父と秀吉の元に幼き声を上げながら駆け寄った。
秀吉は本日何度目かの感嘆を吐いた。
「もうワシには何が何だかサッパリ分からん。」
これには普段驚く事のない官兵衛も困惑気味であった。
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