戦国無謀

□交友
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松井はそれに対し、待っていたかのように、「ああ、その事なら殿より指示が下されている。
ここに銭が10貫目程あるから小遣いとして使っていい。と言われている。」と答えた。
それに対しみきは思わず、
「えぇ!こんなに用意してくれてるの。さすが、当代きっての一流文化人様だわ。
見直しちゃった。」とさっき藤孝に対し思っていた事が嘘のように満面の笑みで答えた。

だが松井は渡さなかった。
「ただしこれは遊びのための金ではない。貴殿が貴殿の見識を広げる為の、いわば研修費用の様なものよ。くれぐれも無駄遣いだけはしてくれるなよ。」とみきに言った。
みきも心の中では不承知だがここは我慢しなければ、と思い
その金を受け取った。
みきはもう一つの疑問が沸いた。
「そういえば藤孝様はどちらにいらっしゃるんです。」と尋ねたが、松井も困った顔で
「そうだなぁ、殿は織田家臣という顔以外にも色々な顔以外を持っているからな。
今頃、京の町にでも行ってるんではないか?」
みきはそれに対し、
「ええー、あの人だけ京の町に行くなんて羨ましい。私も行きたかったな。」と溜息を漏らしたが、
松井は「この戯け者!殿は遊びの為に京に行くのではない。
これも乱世の慣いなのだ。」と声を荒らげた。
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