戦国無謀

□茶を点てる男
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一方その頃茶室では、一組の夫婦がある噂をしていた。
「ねぇ、お前様。藤孝殿、遅くない?何かあったのかな、
ちょっと私見てこようか?」
とねねが切り出したのを皮切りに秀吉もそれを待っていたかのように、
「そう言われるとそうじゃな
ねね、ちょっくら様子を伺ってきてくれんか?」と答えたので、
ねねは「うん、わかった。」と
狭い茶室内にもかかわらず立ち上がりドロン、と消えた。

しばらくして、ねねが再び現れ、「お前さま、お連れしたよ。」と
秀吉に声をかけたが、そこにいたのはねねと藤孝の二人だけではなかった。

驚く秀吉の表情を見て、ねねと藤孝も辺りを見回すとそこには
なんと、相変わらず昼寝したままの半兵衛と、信長の奥方である濃姫と、藤孝の近習であり居候の
おみきがいるではないか。

はじめに口を開いたのは秀吉であった。
「なんでこんなに連れてくるんじゃ!もうワシにはどうすることもできんぞ、ねね!」
ねねは「ごめんなさい、お前さま。勢いが良すぎて、連れてきちゃったと答えた。」と少ししょんぼりとした口調で答えた。
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