戦国無謀

□知った顔には知らぬ顔で
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今日は藤孝は珍しく登城に遅参ギリギリだった。というのも昨日会ったばかりのおみきに興味を持ったことで、おみきに夜遅くまで武士の習い事を指導してたからであった。
藤孝が評定の間に到着した頃には織田家臣の歴々がすでに今や遅しと信長を待っていた。
藤孝も安土城の自分の部屋におみきを待たせておき、自分の席につく。
すると、筆頭家老である鬼柴田こと柴田勝家が顔を赤くして、藤孝に詰め寄ってきた。「わぬし、大殿の御前で何という無礼な振る舞いを致すか、それが当代きっての文化人のやることか。恥を知れい!」
それに対し、藤孝は全く見向きもせず居眠りをこいていたので何の反応も示さなかった。
これには二人のやりとり?に注目していた家中の者たちも柴田を庇うどころか、一斉に大笑いした。
特に日頃から勝家に対して思うところのある秀吉は、「柴田どの、わしゃ、貴殿の豪快なところは藤孝殿に勝っていると思うとったがの。これでは引き分けではないか。ええんか、柴田殿?」と好機とばかりにケチョケチョンに勝家をなじった。
それから勝家は信長が来るまでの間、一言も声を発さなかった。
しかし、藤孝も眠ったままだった。
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