ワーキン”ブギ

□こちら私立戦国総合大学大坂キャンパス
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大坂府大坂市
この日本有数の大都市の中で
たとえ、上空から見下ろしても、
一際目立つ建物が聳え立っている。
それが戦国総合大学である。

戦国総合大学。
開校当初は無名の大学であったにもかかわらず、職員や学生、
さらに大学の趣旨や職員の指導に賛同した資産家、篤志家の寄付により、
日本でも指折りの難関、超一流大学となり、
エリート養成機関の名をほしいままにしていた。

学長室。
ここにはこの大学を得意の人たらしとも言うべき話術でここまでの地位に伸し上げた立役者の一人であり、創立者の豊臣秀吉学長、及び彼の妻であり、ここの事務であるねねが腰を据えている。


ある日の夕方。
「ハァーッ。」
秀吉がパソコンに向かって何やら深い溜め息をついていた。
そんな様子の夫に対して、ねねはいつもの調子でお茶を持ってくるため、学長室の隣に位置する事務室から相手の承諾もなく開けた。

だが秀吉は注意をしない。
それがいつもの事だというのもあるが、それ以上に頭を抱えている事があったのだ。

そんな夫の只ならぬ様子を察知してか、ねねは持ってきたお茶を
学長机ではなく、応接用のテーブルに秀吉の分だけでなく、自分の湯呑も置いた。

「お前様。一人で悩んでいても埒が明かないよ。
ホラ、こっちに来て。
私も相談に乗るから。」
だが秀吉はあまり乗り気ではない。
ねねが理由を尋ねると、
秀吉は重い口調で
「実はのう、昨日、近隣の主だった高校から大学(うちら)に対する進学希望者リストが届いた。
だが、昨年の7割にも満たないんじゃ。」と述べた。
ねねは、
「これは参ったね。
取り敢えず、あたし達だけでは収まりきらないよ。
みんなに相談しなきゃ!」
秀吉は気をとり直し、
「そういえば休憩をとってなかった。ねね、テレビでも見るか。」
という事でねねと二人で趣味の文芸に関する番組を見る事にした。
番組がある場面に差し掛かると秀吉は突然席を立ち、
「これじゃ!ねね、何とかなるやもしれんぞ。」と叫び、その場をあとにした。
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