戦国無謀

□めでたき日
1ページ/16ページ

安土城 評定の間。
織田家中の者たちが大挙して集まり、評定を行っていた。
だが家臣たちの話題はある事で持ちきりであった。
「藤孝め。奴は何をしておるのか!此度の評定は武田攻めぞ。
ここらが正念場というのに。」
勝家が何故かこの場に顔を出さない藤孝を非難する。
光秀は勝家を嗜める。
「勝家殿。もういいでしょう。
お止めください。
しかしおかしいですね。いつもならこのような大事にはすぐ駆けつけるのに...。」
そんな中、彼らの主人である信長の嫡男、信忠が入ってきた。
「お主ら、何をしておる!
静まらぬか。軍議の最中であるぞ!」と姿を現わすなり、
重臣を一喝した。
これには勝家達も平伏した。
「こ、これは若殿。も、申し訳ありませぬ。私どもとした事がつい、騒ぎ立ててしまいました。
ご無礼、お許しくだされ。」
信忠も家臣達の様子を見て納得したのか、上座に腰を下ろす。
「で、何故かのように怒っておったのじゃ?光秀よ、答えい!」
尋ねられた光秀が正直に少し言いづらそうに話す。
「はぁ。実は大事な評定だと言うのに、藤孝殿の顔が見当たらず困っていたのです。
何かお心当たりはありませんか?」
そう質問された信忠はいかにも苦虫を潰したような顔をした。
「うーむ。実はな、藤孝が騒ぎを起こしおったのじゃ。」
勝家が血相を変えて、信忠に尋ねる。
「藤孝が一体何をしでかしたのでございましょう?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ