戦国無謀

□月を超えろ
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中にいた二人の様子を見て、
半兵衛は自分の部下の背中から降りて、官兵衛に抱きつく。
「官兵衛殿!もう心配したよ。
何で一人であんなに抱え込むの?俺は頼りにならないの?」と
今まで溜まっていた物を吐き出しながら屈託のない笑顔で捲し立てる。
官兵衛は少し戸惑っていた。
「あの状況では卿らにとって私は足かせでしかないと思っていた。
本当は自刃したかったが、
私はイェス様を信仰していた。
それに私が斬られれば、火種を潰すための大義名分が出来る。
そう思って村重の元に参ったのだ。」と半兵衛達に吐露する。
それにはまず藤孝が反応した。
「両兵衛の一角が自殺行為か。
これは天下も聞いて呆れるなぁ。」
これにはみきが怒りを露わにした。
みきは「何言ってんのあんたは!今の状況を考えて発言しなさいよ。」と脇差に手をかけ、今にも斬りかからんとした。
それを見た藤孝は「やはりお前は馬鹿だな。」とみきを軽くあしらい、
「官兵衛よ。お主は俺が言わんとしている事の意味が分かるはずや。のう、半兵衛。」
それを聞いた半兵衛は
みきの持っていた脇差を取り上げながら、官兵衛に一言、
「官兵衛殿。何か言う事があるんじゃないの。」と述べた。
その様子を見た官兵衛はゆっくりと頷き、みんなに頭を下げた。
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