戦国無謀

□交友
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みきはいつになく上機嫌だった。

藤孝からこれからこっちは色々忙しくなるから、お主に十日ばかし暇を与える。と休暇が与えられたのである。
「ふぁぁぁ。今日はよく眠れたな。やっぱ誰かがいるといないとじゃテンションも寝起きも違ってくるな。」と藤孝に対する嫌味も絶好調である。
「取り敢えずせっかく戦国の世に来たんだし、町に出て何か見てくるか。」
みきは寝間着から小袖へ袖を通しながらそう考えていた。
だがみきは重要なことに気づいた。
「あ、やばい。私、この時代のお金を持っていなかったんだっけ。どうしよう。このまま屋敷の中にいてもつまらないからどうにかしないと。」
丁度みきが思案している時、
部屋の目の前を誰かが通り過ぎた。
みきはその者に尋ねた。
「あのー、すみません。
ちょっとお尋ねしたいことがあるんですが...。」
その男はこう答えた。
「何じゃお前は。他人に用があるのなら、まず自分から名乗るのが礼儀という者であろう。」
「どうも失礼しました。
私、先日からこの屋敷でお世話になってます、みきと申します。」
と答えたので男も
「そうか、お主が殿の近習になったという者か。
わしは松井康之じゃ。これからよろしく頼むぞ。」
と答えた。
さらに松井は「それでわしに要件とは何じゃ?」と続けた。
みきは言い辛そうに
「実は殿から休みをいただいたんです。それで町に遊びにでも行こうと思ったのですが、金がないことに気づいてしまったんです。」とありのままに答えた。
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