脱出せよ! 【完】
□それは突然に…
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高尾side
『おっ!いたいた!!』
「高尾!」
「高尾くん!」
真ちゃんと分かれた後、1階に到着すると2人は丁度教室を移動してるところだった
『どうだ?何か見つけたか?』
「いいえ。残念ながらコレと言った物は…青峰くんのところでは色々と見つかったようですね」
『そうだな。アイツらは運がいいのかもな!』
「こっちも負けてらんねーな!」
青峰達の発見の連続に火神は一人ヤル気を出し、臆せずライフルを構えながらズカズカと教室へと侵入して行った
『勝ち負けじゃねーっつの』
「確かに、バスケのような勝敗じゃありませんが、火神くんはキセキの世代…特に青峰くんや緑間くんには特別なライバル心を持っていますからね。きっと青峰くん達の発見の連続が起爆剤になったんでしょう。こうなったら止められませんし、野生の勘も働きやすいでしょうから、このまま放っておきましょう」
火神が野生の猛獣なら、黒子は猛獣使いと言ったところだろう
「おい!何してんだ!さっさと探すぞ!!」
『はいはい。今行くって』
教室内に入り、感覚を研ぎ澄ませてみたけど、ここにはモンスターはいないようだ
ホッと胸をなでおろし、オレも散策に加わった
「にしても、妙ですね…」
『何がだ?』
6列に並んだ机を1人2列担当し、前から順番に机の中を確認していると、隣の列を探していた黒子が口を開いた
「ボク達が別館に着いてから、だいぶ経ったのに、カウント計が何も動いてないんです」
黒子に言われてカウント計を見てみると15:40のままだった
「ボク達が渡り廊下でモンスターを倒したっきりカウント計が動いてないんです。5チームに分かれているのに、あれからどこのチームもモンスターを倒していない。つまり、あれからモンスターが現れていないと言うことです」
『そう言われりゃ妙だな…。あんだけワラワラとモンスターが現れてたのにな…』
モンスターが現れず、こうやってスムーズに散策できるのはいい事だが、オレ達は100体のモンスター全てを倒さなきゃならないんだ
出てきてもらわなきゃ困る
〈きーちゃん!ミドリン!笠松さん!!〉
モンスターが現れないことに疑問を抱いていると、突然、スピーカーから桃井の悲鳴にも近い叫び声が静かな教室に響き渡った
「何だ!?」
「3人は2階でしたよね!?」
『ああ…!』
桃井は3人に呼びかけるように、ずっと叫んでいる
〈突然2階のモニターが乱れてっ!!次に映った時には3人とも倒れててっ!!だ、誰か!!2階に!!〉
明らかに異常事態を知らせる放送だ
『黒子と火神はここで散策を続けててくれっ!』
「高尾くん1人で行くんですか!?」
『たぶん、他からも応援が来るだろ!!』
「わかった!気を付けろよ!!」
『おう!!』
教室を飛び出して階段を駆け上がれば、3階から駆け下りてきた麻紀ちゃんと鉢合わせた
『麻紀ちゃんはアッチを!オレはコッチから!!』
「わかった!!」
左右に分かれ、教室を一つづつ懐中電灯で照らしながら3人を探した
「いたっ!!高尾くん!コッチ!!」
オレに知らせると麻紀ちゃんは1人教室に入って行き、オレも後を追った