脱出せよ! 【完】

□発見
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征ちゃん達が体育館に向かうために必要なBのカギと、あっくん達が3階に向かうために必要なCのカギ

その他に見つかったDとEとFのカギを私達に渡され、私達も出発した




「持ってきて正解だったな」




本館と別館を繋ぐ2階の渡り廊下の真ん中にDとかかれたドアが出現した




『じゃあ、開けますよ…』




カギを開け、ドアノブを握ってる私の後ろには、みんなが武器を構えている




『3…2…1…!!』




バッとドアを開けると数体のモンスターが流れて出てきた




「三発だったよな!?」

「弾の消費が激しいっスね!!」




だが、みんな手馴れたように的確に仕留めていく




「意外と多かったな…」




倒した数は6体

私も参戦し、一人1体を倒した計算だ




〈次で30を切ります!気をつけて!!〉




私達が全てを倒すとスピーカーからさつきから情報を送られた

他の所でも倒したのだろう




「先に進もう」




モンスターは消えたが、モンスターから流れ出た血が海と化しており、私達はビチャビチャとそれの上を通って先へと進んだ




「じゃあ、一旦ここでお別れっスね」




私達は別館に到着し、1階をクロと火神くん

2階をリョーちゃんと笠松さん

3階を私と大輝で散策する




『みんな、生きて戻ろうね!』

「こんな所で死ぬのはゴメンだしな」

「青峰くん、麻紀さんを頼みましたよ」




最後にみんな拳をぶつけて散らばった




「麻紀、大丈夫か?」




ケガを心配してか、ケガをさせたことに気を悪くしてか、それとも先ほど恐怖で足が思う様に進まなくなっていた私を気遣ってか、大輝は左腕をそっと握り、引っ張るように薄暗い階段を登っていた




『そんなに気を使わなくても大丈夫だよ』

「けどよぉ…」

『大輝らしくないなぁ!アンタはいつも通り偉そうに胸張ってりゃいいんだよ!』




ニカッと効果音を付けながら笑うと、大輝はホッとしたようだった




「つか!偉そうにって何だよ!」

『え?いつもアンタ偉そうにしてるじゃん?オレに勝てんのは、オレだけ、だっけ?』

「そりゃバスケだけの話だろ!?」




ギャーギャー騒いでいると、中学時代に戻ったようで、少し気が晴れた




「じゃあ、とりあえずココから探すか」




3階の1番端の教室のドアに手をかけ、大輝がドアに向けて銃を構えた




『行くよ!…せーのっ!!』




ドアを開けたが、モンスターは現れず、教室内をグルッと見渡してもモンスターはいなかった

しかし、モンスターがいつ現れるかは分からない

銃を手に握ったまま、教室内の散策を始めた

しかし、教室内をくまなく探しても銃の予備の弾が一つづつ見つかっただけで、他は何も出てこなかった

続く隣の教室もモンスターの存在はなく、再び教室内を散策し始めた




ーガタガタッ




『「っ!?」』




教室の奥にある掃除用具箱が大きく揺れている

今までの経験では、あそこからモンスターが現れたことがある

私と大輝は銃を用具箱に向け、モンスターの出現を待った

しかし、用具箱は大きく揺れるだけで、なかなかモンスターが現れない




「んだよ!出てくるならさっさと…」

『待って!』




何かおかしい…




《麻紀ちゃん…開けてみて…》

『え?』

「オイッ!」




それまでずっと静かだったキャロルが口を開いた




『開けるって、アノ用具箱を?』

《そう…》

「大丈夫なのかよ!?」

《多分…大丈夫…》

「多分って…」

《あそこから…モンスターの…オーラは…感じられない…》

『じゃあ、何が?』

《わからない…でも…モンスター…じゃない》




キャロルの言葉を信じ、用具箱に近づくと、小さな唸り声が聞こえた




『え?な、何!?』

「大丈夫だ」




うろたえる私に、大輝が私の左手を優しく握り落ちつかせてくれた




「もし、モンスターだったらオレが撃つ。お前は用具箱を開けろ」

『う、うん…』




用具箱は今もなお揺れ続けている

その用具箱の取っ手に指をかけ、勢いよく引くとゴロっと何かが転がった




『「えっ!?」』




転がって来たのは人で、その人は手足をロープで拘束、口と目をガムテープで塞がれ、しゃがむように丸まって身動きが取れないようだった




『ねぇ…この人…』

「ああ…」




その人は、大輝と全く同じ制服を着ていた




『知ってる?』

「知ってるも何も…おそらくオレ達の主将だ…」




目と口、人を認識する上で必要なパーツを隠されてしまっていたが、制服と背格好、髪型からよく知っている人物だと判断したようだった




『え?主将って…桐皇バスケ部の!?』

「ああ…」




そして、私達の脳裏に日向さんが横切った




「まさか…またモンスターか…?」

『で、でも…キャロルはモンスターじゃないって…』




私達がこうしている間にも、その人は体をモゾモゾと動かし唸りながら外せと言っているようだった




『と、とりあえず…目と口だけ外そうよ…』

「まぁ、目と口だけなら…」




ゆっくりと目と口のガムテープを外した

もしモンスターだとしても、手足を拘束していれば、襲ってくることはないだろう




「やっぱり、その声は青峰やったか…」




その人は細い目をさらに細めて大輝を見た




「ああ、メガネか…」




目が悪いのだろうか

大輝は配付された懐中電灯の灯を頼りに、その人が押し込まれていた用具箱を覗き、見つけたメガネをその人にかけてあげた




「手と足は外してくれんのか?」

「まだアンタがモンスターじゃないとは言い切れねぇからな」

「安心しい。オレは日向と違ってモンスターやない」

『何でソレを!?』




この人は、あの場面にはいなかった

なのに何故、あの出来事を知ってるいるのだろうか




「全部見とったからや。いや、正確に言えば見せられてたんやな」

「見せられてた?」

「ああ。オレがいつここに押し込められたかは分からん。せやけど、気付いたんは麻紀ちゃん、アンタが目を覚ましたと同時やった」

『私の名前まで…』




私は彼のことは知らないし、初対面だ

けど、彼は知っているように私の名前を言った




「言うたやろ?見てたって。だから、麻紀ちゃんのことはよう知ってんねや。ケガしてる左腕、左手、頭を誰にやられたケガなんかもな。あ、ちなみちオレは桐皇学園男子バスケ部主将の今吉翔一や。よろしゅう」

『よ、よろしくお願いします』

「で?見てたってなんだよ。アンタ目隠しされてたじゃねぇか」

「せやな。けど、見てたんや。目ぇをつぶってる間、脳内に映し出すように映像が流れてきてた。せやから、青峰達がこのゲームをやらされてるのも、モンスターを倒していくのも、麻紀ちゃんの肩に乗っかってるキャロルの存在も、日向がモンスターやったことも全部見てたんや」




どの場面にもいなかった今吉さんだが、全てを見ていたと言うだけあって、全ての事情を知っていた




「じゃあ、アンタは何なんだよ。モンスターじゃねぇんだろ?」

「オレこそがお助けキャラや」

『お助けキャラ?』




日向さんの時にも出てきたお助けキャラと言うワード

今吉さんはハッキリと自分がそうだと言った




「ゲームが始まると同時にマスターから言われたんや。お助けキャラになってもらうって」

「じゃあ、お助けキャラなら何かこのゲームの攻略法か何かを知ってんのか?」

「いいや、知らん」

「はぁ?」

「オレの場合は、そう言うんを知ってるお助けキャラやのうて、身代わりのお助けキャラや」

『どーゆーことですか?』

「それはな…」




今吉さんが言うには、今吉さんは15人の内にはカウントされないらしい

でも、私達に協力してモンスターを倒すことができる

しかし、今吉さんが死んだとしても15のカウントは減りはしない




「だから身代わりや。誰かが危なくなったら、オレが盾になる。オレが死んだからと言ってカウントはされないしな。でも、オレが生き残っても青峰達が全滅したら、オレも消滅する。っちゅー仕組みらしいわ」

「なるほどな…」

「もちろん、死にたないけどな」




今吉さんが本当にお助けキャラだと分かった大輝は今吉さんを拘束していたロープを解いた




「あー、やっと自由や。ずっとこの姿勢やったから、体バッキバキや」




今吉さんは硬くなった関節や筋肉をグーッと伸ばしていた




「あ、そうや」




何かを思い出した今吉さんは、ピタッと動きを止めた




「お助けキャラやけどな…オレ1人やないで」

『え?他にもいるってことですか!?』

「ああ、マスターは“キミ達はお助けキャラだ”言うとったんや。せやから、他にもいるんやろうな。せやけど、何人なのか、誰なのかは分からん。オレの場合はキャロルがモンスターやないって見抜いてくれたけど、もしかしたらまた日向みたいなのがおるかもしれんし、ホンマのお助けキャラかは分からんやろうな」




今吉さんがそう言えば、スピーカーから、今吉さんと言うお助けキャラの存在

お助けキャラが他にもいるかもしれないと言う情報と、日向さんのような存在がいるかもしれないと言う情報が全メンバーに送られた




「ホラよ。さっきメガネと一緒に見つけたんだ。そーゆーことなら、アンタにも協力してもらうぜ」

「せなや。オレかて死にたないからな」




大輝はメガネと一緒に見つけたと言う拳銃を今吉さんに渡した




「さっさと、この教室を確認するぞ」

「せやな」

『ん?アレ?』




私も教室内を散策しようとすると、今吉さんのズボンのポケットが小さく膨らんでいることに気が付いた




『今吉さん、何持ってるんですか?』

「ん?何がや?」

『ポケットですよ。ズボンの』




今吉さんは気付いていなかったみたいで、ズボンのポケットに手を入れた




「ん?何やコレ」




今吉さんはスボンのポケットから小さな黒い球体を取り出した




『“E”?』




それには白い文字で“E”と書かれていた




「「『隠された文字!!』」」




それが隠された文字だと分かるのに時間はかからなかった

私達はお互いに顔を見合わせ、小さくガッツポーズをした

今吉さんは、それを見せるように高く上げると、再びスピーカーから隠された文字の発見を知らせる報告が入った
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